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日本のエンジニア平均年収は700万円、前年比1.5%の微減で下落傾向に歯止めビジネスニュース

過去1年間の給与の増減については、「増えた」という回答者が23%で、昨年調査よりも10ポイント上昇した。エレクトロニクス産業の回復が着実に進んでおり、エンジニアの給与水準は下げ止まったとみてよいだろう。

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 EE Times Japanが2010年9月上旬から中旬にかけて実施した「エレクトロニクスエンジニア給与/意識調査」の結果がまとまった。日本のエンジニアの平均年収は700万円で、前年の711万円と比べて1.5%の微減にとどまった。昨年の同調査では前年から47万円(6.2%)の大幅な減少だったが、エレクトロニクス産業の回復が着実に進んでおり、エンジニアの給与水準は下げ止まったとみてよいだろう。この調査の対象はEE Times Japan電子版の読者で、回答者数は1262人、平均年齢は43.8歳だった。

 過去1年間の給与の増減については、「増えた」という回答者が23%で、昨年調査よりも10ポイント上昇した。「減った」は46%で同17ポイントの減少、「変わらない」が31%で7ポイント上昇した。このように給与が減ったエンジニアが半数近くを占めており、厳しい状況は続いているものの、各社の業績回復が持続すれば、給与削減の流れは弱まり、再び上昇傾向に転じるだろう。

 ただし人件費の安い中国やインドなどへ開発拠点を移す動きも加速しており、雇用の回復は不確実な情勢といえる。米国のEE Timesが昨年に続いて今年も北米、ヨーロッパ、中国、インドの4地域で同様の給与/意識調査を実施しており、結果がまとまり次第、日本との比較分析記事を本サイト上で掲載する予定だ。

自分のキャリアに対する満足度が低下、転職意向が強まる

 給与の減少や人員の削減などによって仕事の環境が厳しくなる中で、エンジニアの意識にも顕著な変化が見られる。「自分のキャリアに満足している」と回答したエンジニアの比率は59%で、前年から5ポイントも減少した。「私の会社はよい職場である」との回答も同じく59%にとどまり、前年から7ポイント下がっている。その一方で「エンジニアという職業に満足している」という回答者は87%に上り、2005年の調査開始以来、最高の数値を示した。エンジニアの仕事そのものに対する満足感は決して失われていない。

 こうした状況を反映して、エンジニアの転職意向も高まりつつある。「すぐにでも転職したい」と回答した人の比率は11%に上り、本調査で初めて1 割を超えた。「2〜3年以内に転職したい」というエンジニアは12%、「当面は転職しないが、いずれ考えたい」は40%だった。これに対して「将来も転職することはない」は18%、「転職について考えたことはない」というエンジニアは19%である。人材不足に悩む企業にとっては、今こそ好機である。

 優秀なエンジニアが仕事を選択するにあたって重視することのひとつに、革新的なことに取り組めるかどうか、がある。この点で企業の取り組みは後れをとっている。「私の会社は革新性や創造性に力を入れている」と評価したエンジニアは40%にとどまり、前年から8ポイントも下がって過去最低を記録した。「私の会社の技術は最先端のものである」は37%で、実に前年比11ポイントのダウンとなり、これも過去最低の数値である。「私の会社はエンジニアの革新的な成果に報いている」にいたっては28%で、初めて3割を切ってしまった。エンジニアが意欲的に仕事に取り組めるような対策を早急に講じないと、日本の競争力はますます低下しかねない。

 新たな競争分野のひとつは、太陽光発電や電気自動車に代表される環境技術である。「過去1年間に設計業務において、環境問題に取り組むように求められたことがある」と回答したエンジニアは73%に上った。「環境問題に取り組むケースは過去1年間で増えている」も53%と半数を上回っている。日本政府は環境分野を成長産業として支援する方針を打ち出している。革新的な環境技術を開発する取り組みがさまざまな企業に広がることで、エンジニアの意欲も高まり、日本の競争力回復につながる期待がある。

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