村田製作所は、2.5mm×2.0mm×1.0mmと小さいDC-DCコンバータモジュールを、エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」(2010年10月5日〜9日に幕張メッセで開催)に出品した(図1)。フェライト多層回路基板の内部配線層を使ってコイルパターンを形成しており、基板の表面にはDC-DCコンバータICとコンデンサが1個ずつ実装されているだけだ。DC-DCコンバータICにはスイッチング素子(パワーMOSFET)も集積してあるので、外付け部品は入力と出力のコンデンサだけで済む。
型名は「LXDC2HLシリーズ」。降圧型のDC-DCコンバータで、スイッチング周波数は3MHzである。入力電圧範囲は2.3V〜5.5V。出力電圧は固定で、品種ごとに異なり、0.8V〜4.0Vに対応する。出力電流容量も品種によって異なるが、出力電圧が1.2Vまでの品種であれば最大600mAを確保できるという。携帯型機器の内部で無線LANモジュールやワンセグ受信モジュールなどの電源として使える。変換効率については、「90%弱」(同社の説明員)である。
すでに製品として出荷を始めており、携帯電話機などに採用された実績があるという。「機器メーカーが独自にチップインダクタと単体のDC-DCコンバータICを組み合わせる場合に比べて、電源回路を小型化できる。また、モジュール品ではインダクタとDC-DCコンバータIC間の配線が大幅に短くなるので、配線がアンテナとして機能することで放射されてしまう雑音を、小さく抑えられるというメリットもある。実際に、小型化よりも雑音の低減を目的としてこのモジュールを採用した事例があるほどだ」(同説明員)(図2)。
なお同社はすでに、携帯電話機に向けた小型DC-DCコンバータモジュールとして、高周波パワーアンプの電源に向けた品種を2009年11月から量産している。この既存品は、今回の展示品が備えていない出力オン/オフ機能を搭載しているものの、サイズは3.5mm×3.1mmと比較的大きかった。
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