THz帯(100GHz〜10THz)を使った超高速無線通信は、決して夢ではない…。
ロームは、エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」(2010年10月5日〜9日に幕張メッセで開催)で、現在開発を進めている「THz帯発振デバイス」を展示した(図1)。
共鳴トンネルダイオードと、THz帯を空間に放射するアンテナ素子を組み合わせたもの。0.4THzの電磁波を、室温で基本波発振させることができる(図2)。
会場では、THz帯発振デバイスを展示するとともに、THz帯発振デバイスを使った無線伝送の様子を映像を流していた。映像は、あらかじめ録画しておいたもの。「1cm以下の近接距離だが、1.5Gビット/秒程度でハイビジョン映像をリアルタイム伝送できることを確認済み」(開発担当者)だという。
今後、基本波発振の周波数を向上させるとともに、データ伝送速度の高速化にも取り組む。まず、データ伝送速度を30Gビット/秒程度に高めることが目標である。「次世代の高速通信やセキュリティ用途など、THz帯を使えばこれまでに無い新たな市場が生まれる可能性がある」(同氏)。
電波資源は活用し尽くされているとは言えない
THz帯には、ほかの周波数帯にはない特有の透過特性がある。また、THz帯に対して特有の吸収スペクトルを持つ有機物は多い。このような特徴を生かし、イメージング分野やセンシング分野で活用すること想定した研究開発が進んできた。
最近、THz帯の新たな用途として研究者の注目を集めているのが、ロームが見せたような高速の近接無線通信への展開である。電波として用途が決まっているのは275GHzまでで、THz帯を含むそれ以上の周波数領域は未開拓の領域として広がっている。
一般に、使える周波数帯が限られているならば、データ伝送速度を高めようとすると、消費電力も増える。データ伝送速度を高めるために、より複雑な変調方式を使う必要があるからだ。これに対して、広い周波数帯域をデータのやりとりに使えるならば、消費電力を増やすことなく、データ伝送を高速化できる。広い周波数帯域を確保可能な領域として残されているのが、THz帯なのである。
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