グーグルとNXP、AndroidにNFCを統合へ:無線通信技術 NFC
NXPセミコンダクターズは2010年12月6日(米国時間)、グーグルと戦略的協業関係を結び、NFC(Near Field Communication)機能の実装に向けたソフトウエアスタックを完全にオープンソースとして提供すると発表した。
NXPセミコンダクターズは2010年12月6日(米国時間)、グーグルと戦略的協業関係を結び、NFC(Near Field Communication)機能の実装に向けたソフトウエアスタックを完全にオープンソースとして提供すると発表した。
NXPによると、このNFC用スタックはグーグルの「Android OS」の最新バージョンである「Gingerbread」に完全に統合され、グーグルによって機能検証されるという。またNXPは、グーグルがサムスン電子と共同開発した新型スマートフォン「Nexus S」にNXP製NFCコントローラIC「PN544」が搭載されていると述べている。
2010年11月15日〜17日に米国サンフランシスコで開催されたカンファレンス「Web 2.0 Summit」において、グーグルのCEO(最高経営責任者)を務めるEric Schmidt氏は、NFCとAndroid OSのGingerbreadバージョンを用いた携帯型端末を初披露していた。また、スマートフォン「BlackBerry」の製造元であるリサーチ・イン・モーション(RIM)の共同最高経営責任者(Co-CEO)を務めるJim Balsillie氏も、将来の製品でNFCを採用していく可能性があることをほのめかしていた。
NFCは、短距離無線通信技術の1つであり、およそ4インチ(約10cm)以内の距離にある機器間でデータをやりとりできる。この数週間で各社がNFCの取り組みについて言及し、にわかに勢いづいている。2010年12月6日に、Oberthur TechnologiesとSTマイクロエレクトロニクスは共同で、旅行者や交通機関の利用者がNFC機能を備えた携帯電話機を電子チケットと同様に使えるようにする、非常に安全性の高いSIM(Subscriber Identify Module)カードを提供する予定だと発表した。また2010年12月1日には、サムスン電子が、携帯電話機向けにフラッシュメモリを内蔵したNFCチップを発表している。
2010年11月にはNXPが、同社の非接触スマートカード技術「MIFARE」を携帯型端末で採用されているジェムアルト(Gemalto)製のUICC(Universal Integrated Circuit Card)スマートカードに組み込むことでライセンス契約を締結したと発表した。また同月に、スマートカードICメーカーのインサイド コンタクトレス(Inside Contactless)は、NFC搭載の携帯型端末に向けたSiP(System in Package)製品「SecuRead」を発表した。
グーグルでモバイルプラットフォームのプログラムマネジャーを務めるEric Chu氏は、今回のNXPとの協業に関する報道発表資料の中で、「Androidのオープン性が、技術革新を加速するすばらしい基盤となった」と述べている。「われわれは常に、新たな技術を使って携帯型端末の機能性を強化したり拡張したりするための創造的な方法を求めている。NXPの寄与を得てAndroidにNFCを導入することで、開発者や接続サービスプロバイダ、端末メーカーに対しては、新しいサービスを提供して形勢を一変させる機会をもたらす。またユーザーに対しては、これまでは実現できなかった形で、他のユーザーや周囲の世界とやりとりすることを可能にする」(同氏)。
NXPは、2002年にNFCを共同開発した。同社は2004年にNFC規格の推進団体である「NFC Forum」の共同設立者となり、業界の関係者の協業を主導するとともに、この技術の標準化を支援している。
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