STマイクロエレクトロニクスは、高性能のモバイル機器とフルHD(1080p)対応のテレビやモニターをつないで1080p/60Hzのオーディオ/ビデオ(A/V)信号をストリーミング伝送できる、新たなインターフェイス技術を発表した。「Mobility DisplayPort(MYDP)」と呼ぶ。A/V信号の伝送に加えて、モバイル機器を充電するための電力を供給する機能も備える。携帯電話機向けチップを手掛けるST-エリクソンとの緊密な協力によって開発したインターフェイスだと言う。STマイクロエレクトロニクスは、このMobility DisplayPortをモバイル機器のA/V出力の標準規格にすべく、規格案をVESA(Video Electronics Standards Association)に提出済みである。
Mobility DisplayPortは、VESAが策定したインターフェイス規格「DisplayPort」を基にしており、デジタルプロトコルについてはDisplayPortと100%の互換性を備える。DisplayPortとの相違については、「実装容積の制約が極めて厳しいという、モバイル機器ならではの特性を考慮して設計した点だ。モバイル機器では、1個のコネクタだけでデータのやりとりからA/V出力、その他のA/Vアクセサリへの接続まで、すべてに対応することが求められる」(STマイクロエレクトロニクス)と説明する。機能面では、DisplayPortの標準的な機能に加えて、接続先のテレビやモニターからモバイル機器に充電用の電力を供給できるようにした。タブレットPCやスマートフォン、携帯型ゲーム機などの民生モバイル機器で現在一般に使われている標準的なコネクタを利用し、A/V信号のストリーミングと同時にモバイル機器の電池を充電できるようになると言う。
STマイクロエレクトロニクスは、Mobility DisplayPortに対応した最初の製品のサンプル出荷を2011年第3四半期(7月〜9月)に開始する計画である。なおSTマイクロエレクトロニクスとST-エリクソンは、2011年2月14日〜17日の日程でスペインのバルセロナで開催されている携帯電話関連の国際展示会「Mobile World Congress 2011(MWC 2011)」で、このインターフェイス規格のプラットフォームをそれぞれのブースで展示している。
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