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インテルが「Thunderbolt」の実動デモを披露、実態が徐々に明らかに有線通信技術

インテルは、米国カリフォルニア州のサンタクララにある本社で新インタフェース「Thunderbolt」に関する説明会を開催し、800Mバイト/秒近いデータ転送速度でThunderboltを実際に動作させるデモを披露した。

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 インテルは2011年2月24日(米国時間)、米国カリフォルニア州のサンタクララにある本社で新インタフェース「Thunderbolt」に関する説明会を開催し、800Mバイト/秒近いデータ転送速度でThunderboltを実際に動作させるデモを披露した。

 このデモでは、アップルの新型ノートPCの「MacBook Pro」と、Promise Technologyのストレージアレイの試作機をThunderbolt経由で接続した(図1)。ただし、このデモで使用したディスプレイの接続には、Thunderboltは使われていなかった。

 このデモの様子をEE Timesが撮影した動画を、こちらのリンク先で公開中だ。

図1
図1 インテルが見せたデモの様子 MacBook ProとPromise Technologyのストレージアレイの間をThunderboltで接続した。

2種類のコントローラチップを用意

 インテルは、Thunderbolt搭載コントローラチップを2種類製造している(図2)。一方は、1本のケーブルに10Gビット/秒の双方向チャネルを2本収容するタイプのThunderboltリンクをサポートする。消費電力は最大で約1Wだ。もう一方は、2本のケーブルをサポートし、デスクトップPCのように低消費電力化の必要性が比較的低い機器への搭載を想定している。

 インテルは現在、これらのコントローラチップを独占的に供給しており、価格に関してはコメントを避けている。「10Gビット/秒対応のイーサネットコントローラに対して、Gビット当たりの価格で競争力がある」と述べているだけだ。

 インテルは、Thunderboltの知的所有権(IP:Intellectual Property)を同社が単独で所有しているのか、それともアップルなどの他社もIPの一部を所有しているのか、明かすつもりはなさそうだ。しかしインテルは、Thunderbolt自体はロイヤルティフリーで提供すると述べており、SoC(System on Chip)への搭載に向けてライセンス供与するかどうかについては、ケースバイケースで判断すると話している。今のところ、そのようなライセンス供与を受けたメーカーはまだ1社もない。

 Thunderboltのコントローラは、4レーン(×4)のPCI Express Gen 2とDisplayPortの両方のトラフィックを収容できる共通のトランスポート層を提供する。このトランスポート層は、プロトコルをカプセル化する独自の機能に加え、同期化やトラフィックの優先度調整を担う独自の機能を備えており、それらによって10Gビットのシリアルレーンを実現する。

 Thunderboltのトラフィックは、このコントローラの働きによって、OSからはネイティブにサポートするDisplayPortやPCI Expressのトラフィックに見える。従って、新しいソフトウエアは不要である。

図2
図2 インテルのThunderbolt用コントローラ 2本のケーブルをサポートする品種と1本のケーブルをサポートする品種の2つがある。

ケーブルとコネクタ

 Thunderboltは、新しいタイプのアクティブケーブルを使う。現在のところThunderbolt用に銅線のアクティブケーブルを提供しているのは、アップルだけだ。このケーブルの中には5本のワイヤーが通っており、その内訳は、10Gビット/秒接続用のワイヤーが4本(入力と出力がそれぞれ2本ずつ)と、管理トラフィック接続用のワイヤーが1本である。

 現在、数十mの伝送距離に対応可能な光方式のアクティブケーブルの開発が進められている。2011年後半には実用化される見込みだ。

 Thunderboltのコネクタそのものは、Mini DisplayPortケーブルをわずかに変更した形状だ(図3)。既存のDisplayPort対応機器に接続できる。ただしこのコネクタは、DisplayPortとPCI Expressのトラフィックを自動的に検出する機能を備えている。

 インテルは、Thunderboltをサポートするコネクタとケーブルで同社と協業しているサードパーティ企業について、その名を一切明かしていない。

図3
図3 Thunderboltのコネクタ Mini DisplayPort用コネクタをわずかに変更した形状のコネクタを使う。

フラッシュドライブのメカニカルプロトタイプ

 インテルは、前述したPromise Technologyのストレージアレイの他にも、Thunderboltをサポートする携帯型SSDアレイの試作品を披露した(図4)。La Cieが製作したメカニカルプロトタイプであり、実際には動作するものではない。2個のThunderboltポートと2個のSSDモジュールを備える。

 Thunderboltの使用について、アップルのために排他的な期間が設けられているわけではない。ただし、Thunderboltをサポートする他の機器メーカーの名前や、そうしたメーカーが製品を投入する時期については、不明である。

 インテルでThunderboltのプランニングとマーケティングを担当するディレクターのJason Ziller氏は、「他のPCメーカーも大きな関心を寄せている。しかしみんながみんなというわけではない」と述べる。同氏によると、インテルは民生機器のメーカーにも話を持ち掛けており、そのうち一部の企業は、高品位ビデオとデータを同一のケーブルで伝送できるという点でThunderboltの採用に興味を示していると言う。

 インテルは、Thunderboltのトレードマークを所有しており、第三者がこれを使用する際に取得するインターオペラビリティ(相互運用性)の認証プログラムを今後立ち上げる。Ziller氏は、このプログラムは無償で提供するとしている。

図4
図4 Thunderbolt対応SSD装置の試作品 La Cieが試作した。メカニカルプロトタイプであり、実際に動作するものではない。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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