2011年のPC市場はタブレットが侵食、ガートナーが売上高予測を下方修正:ビジネスニュース 市場予測
市場調査会社である米国のガートナーは、2011年の世界のPC売上高に関する予測を5%以上、下方修正した。消費者の購買意欲が、小型ノートPCに対してではなく、タブレット型コンピュータなどの携帯型機器へと移っているためだという。
市場調査会社である米国のガートナーは、2011年の世界のPC売上高に関する予測を5%以上、下方修正した。消費者の購買意欲が、小型ノートPCに対してではなく、タブレット型コンピュータなどの携帯型機器へと移っているためだという。
アナリストたちは長年にわたり、「ポストPC」時代の到来を予測してきた。PC以外のさまざまな種類のデバイスからインターネットにアクセスできるようになる時代である。今回、ガートナーがPCの売上高予測を下方修正したことも、このポストPC時代の到来を示しているといえる。
この他にも、タブレット型コンピュータの重要性が高まっていることを示す兆候がある。インテルは、タブレット型コンピュータとネットブックを重点的に手掛ける新しいビジネスグループを設置し、その責任者にDoug Davis氏を指名した。同氏は以前に、インテルのエンベデッドグループを率いた経歴を持っており、同社のCEOであるPaul Otellini氏の後を継ぐ有力候補者とされている。Otellini氏は2010年に、「インテルは、タブレット型コンピュータ市場において重要なポジションを確立する」と明言していた。
また、アップルのSteve Jobs氏は、2011年3月2日に開催した「iPad 2」のプレス発表会において、「iPadは、ポストPCデバイスである」と語った。iPad 2は、インテルのx86チップではなく、ARMコアを2つ使ったデュアルコア型のプロセッサチップ「Apple A5」を搭載する。市場調査会社である米国のIHS iSuppliによると、アップルの2010年の売上高に関しては、ARMベースの機器の売上高がx86ベースの売上高を約4倍も上回ったという。
ガートナーは2011年のPC市場の成長率について、以前は15.9%と予測していたが、最新版のリポートの中で10.5%に下方修正した。また、2012年の世界PC出荷台数についても、以前は2011年比14.8%増と予測していたが、今回、2011年比13.6%増に下方修正し、数量ベースでは4億4060万台になる見込みだとしている。
ガートナーでリサーチディレクターを務めるRanjit Atwal氏は、プレスリリースの中で、「こうした結論に至ったのは、小型ノートPCに対する消費者の需要が弱まるとの予測を反映させたためだ。その要因としては、中国の小型ノートPC市場が短期的に低迷するとの予測による影響も少なからずあるが、小型ノートPCに対する消費者の購買意欲が全体的に低下していることが挙げられる」と述べている。
ノートPCおよびネットブック市場は、過去5年の間、約40%の年平均成長率で拡大してきた。しかしガートナーの予測では今後、さまざまな携帯型機器が台頭し、消費者にとって魅力的なインターネットアクセスが可能になることで、ノートPCとネットブック市場の成長率は2015年に約10%に落ち込む見込みだという。
ガートナーでリサーチディレクターを務めるGeorge Shiffler氏は、「消費者の購買意欲は今後、小型ノートPCに代わって、iPadをはじめとするさまざまなメディアタブレットに対して高まっていくだろう。このため、特に成熟市場では、家庭用小型ノートPCの売上高が著しく落ち込むとみている」と述べた。
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