豊橋技科大がシリコン基板にIII-V素子を集積、発光素子の統合が可能に:プロセス技術
豊橋技術科学大学の研究者は、Si(シリコン)基板上にGaN(窒化ガリウム)発光素子やその他の光学材料を集積することに成功したと発表した。
豊橋技術科学大学の研究者は、Si(シリコン)基板上にGaN(窒化ガリウム)発光素子やその他の光学材料を集積することに成功したと発表した。同大学の研究チームによれば、シリコン材料とIII-V族半導体材料の結晶格子の不整合の問題を解決したという。これによって将来、シリコンチップに光学素子を集積することが可能になるという。
現在、シリコンフォトニクス技術では、光導波路や光共振器、光スイッチといった光学機能の多くをシリコン基板に集積できることが実証されている。しかし、ガリウム(Ga)やヒ素(As)、インジウム(In)、そしてこれらの窒化物などのIII-V族半導体材料を利用した発光素子の集積化が課題として残されていた。
今回、豊橋技術科学大学の教授で今回の研究プロジェクトのリーダーを務める若原昭浩氏らは、シリコン材料とIII-V族半導体材料の結晶格子の不整合を軽減する手法を開発したという。この手法を利用すると、レーザーをはじめとする発光素子をシリコンチップ上に形成できるとする。
若原氏の研究チームは、GaPN(窒化ガリウム・リン)材料を使ったLEDとシリコン材料によるFETを組み合わせた1ビットの光電子カウンター回路を1枚のチップに集積し、この手法を実証した。シリコン材料とIII-V族半導体材料の結晶格子不整合の問題を解決する鍵は、III-V-Nアロイを用い、MEE(Migration Enhanced Epitaxy)法を使ってGaP(リン化ガリウム)薄膜を成長させることにある。その結果、結晶格子の整合を確保したSi/GaPN/Siのヘテロ構造を、デュアルチャンバーの分子線エピタキシャル(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法を使ってシリコン基板上に成長させることが可能になった。
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