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アナリストリポート:GaAsのサプライチェーンは震災後も強固な状態ビジネスニュース アナリストリポート

日本国内企業は、GaAs基板において約50%のシェアを占め、素子のシェアでも18%〜20%に達する。震災の影響はほとんどないというのがStrategy Analyticsの分析だ。ただし、サプライチェーンには在庫がほとんど無いため、急激な需要の増加に対応する余力はあまりない。

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 米国の市場調査会社であるStrategy Analyticsによると、GaAs(ガリウム・ヒ素)原料や、半絶縁性バルク基板のサプライチェーンには、2011年3月11日に発生した東日本大震災や震災による津波、現在も深刻な状況が続く福島原発の事故による混乱は今のところ起きていないという。GaAsデバイスの製造施設についても、特に大きな影響は受けていないとした。

 日本は、GaAs RF市場やマイクロエレクトロニクス分野で中心的な役割を担っている。具体的には、バルク基板供給の約50%を担い、半絶縁性GaAsエピタキシャル基板製造分野では18%〜20%の世界シェア率を有する他、GaAsデバイス世界市場では1/5のシェアを占める。GaAs分野に参入している日本のメーカーの例として、日立電線やルネサス エレクトロニクス、住友化学などが挙げられる。

 Strategy AnalyticsのGaAs分野でディレクタを務めるエリック・ハイアム(Eric Higham)氏は、報道発表資料の中で、「エレクトロニクス業界全体にも影響を与えているような、より包括的な問題が、今後の日本の各メーカーからのGaAsデバイスの供給に影響をもたらす主な要因となるだろう。包括的な問題とは、ライフラインや物流の寸断、半導体パッケージや組み立て部品に用いられる材料確保の懸念などである」と述べた。

 一方、Strategy Analyticsのフェローアナリストであるアシフ・アンワー(Asif Anwar)氏は、「今後3週間から6週間の間に、GaAsエピタキシャル基板の需要がもし大幅に増加すると、エンドユーザーへの供給に影響する可能性がある。Strategy Analyticsの分析調査によると、震災前、エピタキシャル基板のサプライチェーンには過剰在庫がほとんどない状況だったため、日本の各メーカーはフル操業体制でGaAs基板の製造に当たっていたことが分かっている」という見解を示した。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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