被災地にインターネット接続環境を構築、NICTのコグニティブ無線ルータが活躍:無線通信技術 震災復興
コグニティブ無線ルータは、可搬性と耐障害性に優れている。被災地で設置作業を開始してから5分程度で、無線LANによるインターネット環境を構築できたという。
【続報】要望に応じてインターネット接続ルータを提供、NICTの被災地支援
情報通信研究機構(NICT)は、「コグニティブ無線ルータ」を使い、東日本大震災の被災者が利用可能なインターネット接続環境を構築した(図1、図2)。岩手県内の避難所の1つである大槌町立安渡小学校に導入した。
コグニティブ無線ルータとは、複数の無線通信方式に対応し、その時々の電波状況に合わせて最適な方式を自動的に切り替えるモバイルルータである。公衆無線LANやモバイルWiMAX、3G携帯電話通信、PHSなどの方式に対応している。
「コグニティブ無線ルータは、可搬性と耐障害性に優れているため、設置開始から5分程度で無線LANによるインターネット環境を構築できた」(NICT)という。インターネット接続だけでなく、インターネット接続環境を使った遠隔医療支援にも応用可能である。
NICTの説明によると、大槌町の避難所には、被災者が利用可能なインターネット接続環境は提供されていなかった。今回、コグニティブ無線ルータを使ったインターネット接続環境を構築したことで、多くの被災者がニュースや安否情報、救援物資の情報を入手できるようになった(図3)。
なお、コグニティブ無線ルータの設置には、岩手県立大学総合政策学部の教授である吉本繁壽氏が協力した。このコグニティブ無線ルータは、総務省から委託された「異種無線システム協調制御による周波数有効利用技術の研究開発」と「異種無線システム対応端末技術の研究開発」の研究成果である。
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