デジタルサイネージと融合へ、タッチパネル技術の活躍範囲広がる:センシング技術 タッチパネル(3/3 ページ)
タッチパネル技術には、ディスプレーに表示された画像や映像を見ながらそれに触れることで、機器を直感的に操作できるという大きな特徴がある。機器と利用者の距離を縮める、重要な要素技術だろう。
コラム:厚み0.02mmの曲がるガラス板、ミクロ技術研究所が製品化
ミクロ技術研究所は、センサーの総厚が0.1mmと薄い静電容量方式タッチパネル「aimic-100」を開発し、量産に向けた準備を進めている(図A)。
aimic-100は、厚みが0.02〜0.04mmの薄板ガラスを、厚みが0.05mmの支持フィルムに重ねた構造を採る。薄板ガラスと支持フィルムは、OCA(光学透明両面テープ)で接着させており、全ての層を合わせると0.1mmになる。「現在、薄板ガラス厚が0.2mmのタッチパネルが広く使われている。これに比べて、aimic-100の薄板ガラス厚は0.02〜0.04mmと、1桁も薄い」(同社の説明員)。
図A ミクロ技術研究所の超薄型タッチパネル「aimic-100」 厚みが0.02〜0.04mmの薄板ガラスを、厚みが0.05mmの支持フィルムに重ねた構造。ガラスの性質を有しながら、フィルムと同じ使い勝手を実現したことが特徴だ。
一般に、ガラスは屈曲性を持たず、無理に曲げようとすると割れてしまう。しかし、0.02〜0.04mmまで薄くなると、フィルムのように屈曲性を持つ。aimic-100は、「ガラスの性質を有しながら、フィルムと同じ使い勝手を実現した」(同社の説明員)ことが最大の特徴だという。
張り合わせ工程にメリット
タッチパネルの薄板ガラスを、0.02〜0.04mmにまで薄型化したメリットは多い。例えば、タッチパネルの反応性を高められることや、光の透過性が向上するといった効果がある。さらに、フィルムのように扱えるため、タッチパネルの張り合わせ工程の作業効率を高められるという。
通常のガラス基板を張り合わせるとき、気泡の影響を受けないように中空構造を形成して張り合わせたり、真空環境下で接着材を流し込んで気泡が入りこまないようにするといった工程が必要だったという。これに対してaimic-100では、屈曲性があるので、気泡が入り込まないようにぴたっとフィルムを張り合わせられる。
薄くなった状態でも、材料の性質はガラスのままなので、熱に対する耐性が高いことや、膨張係数が小さいといった特徴がある。タッチパネルの製造工程における寸法変化率が小さいため、タッチパネルの大型化にも貢献する。「ガラスを0.02〜0.04mmの厚さにエッチング加工することが難しい。平たん性を保ったまま薄くする加工技術や、薄板ガラスの切断技術、フィルム状になったガラスの張り合わせ技術に当社の独自性がある」(同説明員)という。
同社は、2011年中の製品化を目標に、生産拠点の準備を進めている。薄板ガラスと支持フィルムを重ねたタッチパネルだけではなく、支持フィルムをさまざまな機能性フィルムで置き換えたタッチパネルも提案している(図B)。会場では、支持フィルムとして、位相差フィルムや反射防止(AR)フィルム、ナノメタルフィルム、透明導電(ITO)フィルムを使った品種を展示していた。
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