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Latticeの次世代FPGAは28nmプロセスを適用、新CEOが来日会見で表明プログラマブルロジック FPGA

現行品「ECP3」とその後継品で高速シリアルトランシーバを改良する「ECP4」は、65nm世代のプロセス技術で製造する。ECP4の次期品種「ECP5」で、28nm世代に移行する考えだ。性能を向上させつつ、65nm世代品からコストと消費電力を半減させるという。

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 FPGAの中堅ベンダーである米国のLattice Semiconductor(ラティスセミコンダクター)は、28nm世代の半導体プロセス技術を適用した次世代PLDを今後数年のうちに投入すると表明した。同社のプレジデント兼CEO(最高経営責任者)に2010年11月に就任したDarin G. Billerbeck(ダーリン G. ビラベック)氏が来日し、2011年5月24日に東京都内で開催した報道機関向け説明会で述べた(図1)。

 同社は現在、65nm世代のプロセス技術を適用したSRAMベースの中規模FPGA「LatticeECP3」や、65nm世代のフラッシュメモリ混載プロセス技術で製造する不揮発タイプの小規模PLD「MachXO2」などを供給している(参考記事その1「ハイエンドで稼ぐ最大手とは開発思想が違う」、ミッドレンジFPGAに注力するラティス社が語る、参考記事その2ラティスが小規模PLDの新世代品を発表、論理セル3倍で消費電力も大幅低減)。28nm世代をまず適用するのは、これらのうち中規模FPGAであるECPシリーズだ。「ECP3の後継となる『ECP4』については、2011年中にも発売できるように準備を進めている。ただしここでは引き続き65nm世代を適用し、プロセス技術の微細化は進めない。高速シリアルトランシーバの動作速度をECP3の3.2Gビット/秒から6ビット/秒に高める改良が目玉だ。その次世代品となる『ECP5』で、一気に28nm世代に移行する」(ビラベック氏)考えだ。

図1
図1 ダーリン G. ビラベック氏 1981〜1988年にAMDで半導体プロセス技術の開発に従事。1988〜1993年にIntelで製造関連のさまざまな開発に携わる。その後同社で1999年までフラッシュメモリ事業の開発部門をリードし、1999〜2007年は同製品グループのバイスプレジデント兼事業部長を務めた。2007年1月にZilogのCEOに就任。2010年11月から現職。

 65nm世代と28nm世代の間にある45/40nm世代や32nm世代を経由しない理由については、「ムーアの法則に沿っていない」(ビラベック氏)からだと説明する。ムーアの法則の一般的な概念は、「半導体チップの集積密度が約2年で2倍になる」というものだが、同氏の意味するところは異なる。すなわち、「コストと消費電力を65nm世代の半分に削減するには、28nm世代に一気に進む必要がある」(同氏)と言うのだ。

 もちろん、65nm世代から45/40nm世代へ、そして32nm世代へと微細化を進めれば、単位面積当たりの集積規模は向上する。理論的にはそれぞれ2倍程度になる計算だ。ただし実際には、チップ上にはコア回路の他にも入出力駆動回路や入出力パッドが搭載されるので、コア回路部の集積密度が高まったとしても、チップサイズを等比的に縮小できるわけではない。また、チップサイズを縮小できたとしても、ウエハー処理に掛かるコストは別の話だ。消費電力についても、コア回路に比べて入出力駆動回路の低減効果は限定的である。これらを考慮したうえで、チップ製造に要する最終的なコストとチップ全体の消費電力をともに65nm世代の半分まで削減することを前提にすると、45/40nm世代や32nm世代は「選択肢にならない」(ビラベック氏)という。

28nmの製造委託先は海外の大手ファウンドリに

 28nm世代品の製造については、海外の大手半導体ファウンドリに委託する方針である。これまでLattice Semiconductorは、日本の富士通セミコンダクターとセイコーエプソンにも製造を委託してきた。しかし28nm世代に対応できるのは、世界でもごく限られた大手半導体ファウンドリだ。国内でファウンドリサービスを提供する富士通セミコンダクターやセイコーエプソンは対応していない。ビラベック氏は、GLOBALFOUNDRIES、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)、UMC(United Microelectronics Corporation)の3社のうちから、1社を選ぶことになるだろうとの見解を示した。「コストと供給能力、そして当社へのコミットメントを重視して選定する」(同氏)。

 最近になってファウンドリ事業に乗り出したIntelについては、委託先の候補として検討したことは認めつつも、「まだファウンドリ事業では歴史が浅い。IPコアを移植したり外部から調達したりしやすいかどうかという観点でも、現時点では選択肢に残らなかった」(ビラベック氏)と明かした(参考記事その3インテルがファウンドリ部門を設立、複数の情報源から明らかに、参考記事その4Intelがファウンドリ事業で新興PLDもう1社と契約と報道、Appleの受託も視野か)。

「ミッドレンジ戦略」は変えず

 ビラベック氏は、同社の製品戦略についても説明した。旧来から同社が採ってきた「ミッドレンジ戦略」を踏襲する。すなわち、FPGAの最大手ベンダーであるAlteraとXilinxがそれぞれハイエンドFPGAで独占している市場で両社と競合するような製品は手掛けない。その代わり、そこまでの性能や集積規模を求めないユーザー層に向けたミッドレンジFPGAのほか、集積規模が比較的小さい不揮発性FPGAやアナログ機能混載FPGAに注力する(図2)。

図2
図2 注力する応用領域と各領域に対応する製品群 出典:Lattice Semiconductor

 日本市場で注力する領域としては、大きく無線/有線通信分野と、民生分野、産業分野の3つを挙げた(図3)。無線/有線通信分野では、特に基地局やスイッチ装置を狙う。「最大手FPGAベンダーのハイエンドFPGAは、バックホール側の装置に組み込んで極めて広い帯域幅のデータを処理する用途を狙っている。それに対し当社はアクセス側の装置に的を絞り、データ処理よりもシステム制御の用途を中心に据えている」(ビラベック氏)。

 民生分野では、テレビやプリンタ、電池駆動の各種携帯型機器、産業分野ではビデオ装置や監視・管理機器、制御機器などを視野に入れているという。

図3
図3 日本市場での活動と注力分野 出典:Lattice Semiconductor

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