【ワイヤレスジャパン2011】スマートフォンをスイングして「探しもの」、KDDIが超音波利用の新技術をデモ:センシング技術
「超音波を使って、探したい対象物のある方向を検出するというコンセプトが新しい」(KDDI研究所の担当者)という。
KDDI研究所は、スマートフォンをスイングするだけで、見つけたい人や探したい物との方向/距離を推定する技術を開発し、無線通信関連の展示会/セミナー「ワイヤレスジャパン2011」(2011年5月25〜27日、東京ビッグサイト)でデモを披露した。「超音波を使って、探したい対象物のある方向を検出するというコンセプトが新しい」(KDDI研究所の担当者)という。
具体的にはこうだ。まず、Bluetoothなどの無線通信を使って、探す側と探される側のスマートフォンをペアリングしておく。その後、スマートフォンをスイングする動作に合わせ、探す側のスピーカから一定の時間間隔で超音波を発信する。探される側のスマートフォンでは、マイクで超音波を受信すると受信時刻を探す側のスマートフォンに無線通信で送り返す。
すると、送信側から発信した音波の時間間隔は一定であるのに対して、探される側から送り返されてきた受信時間の間隔は、送信側と受信側の距離に応じて変化する。すなわち、スイング動作の間に送信側と受信側が近づくにつれて、受信時刻の間隔が短くなる。最も距離が近づいたポイントを検出することで、探される側の方向を推定する仕組みだ。距離については、音波の伝搬時間を基に算出する。
想定する利用シーンは多彩である。例えば、旅行においてツアーガイドが参加者を探す、待ち合わせ場所やイベント会場で友人を探す、といった使い方がある。他にも、大型駐車場での車探しや、図書館や書店での本探しといった利用シーンもある。物を探すのに利用するときには、専用のモジュールをあらかじめ対象物に張り付けておく必要がある。
方向の検出分解能は、理想環境で±15度程度。実用化に向けた課題は、見通しが悪かったり、超音波が遮られたりする状況では、検出感度が大幅に下がってしまうことだ。超音波を使うことに起因した課題である。
例えば、混雑した中に見つけたい人がいても、うまく検出できない。「検出精度を上げるには、超音波の直接波と反射波のそれぞれを考慮して、方向を検出するアルゴリズムを組み込む必要がある」(同担当者)。
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