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日本の半導体市場、対前年比の縮小幅は7%にとどまるビジネスニュース 業界動向

2011年4月の日本市場の3カ月平均売上高は、世界の他地域が全て前年比で増加する中、7%の減少となった。東日本大震災の影響が大きいものの、完成品の製造拠点を国外に移行している影響もある。

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 米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)が発表したリポートによると、2011年4月の日本の半導体売上高は、2010年同月比で減少したという。2011年4月の日本の半導体売上高の3カ月平均値は、米ドル換算で前年同月比7%減となった。

 2011年4月の日本の半導体売上高の3カ月平均値(2011年2月〜4月)は、34億2千万米ドルで、2010年4月の3カ月平均値36億8千万米ドルから7%減少した。世界の主要地域について同様の条件で比較すると、日本以外は全て成長を遂げている。南北アメリカ地域の半導体売上高は、前年比9.5%増となる45億米ドル、欧州は前年比6%増となる32億6千万米ドルだ。また、世界半導体売上高の過半数を占めるアジア太平洋地域も、前年比4.8%の増加となる134億9千万米ドルの売上高を上げている。米国と欧州の半導体市場が力強い成長を遂げていることから、日本市場の縮小による影響はそれほど深刻ではない。

 SIAと世界半導体市場統計(WSTS:World Semiconductor Trade Statistics)によると、日本は2011年の世界半導体市場において、一番成長率が低い。しかし、日本の年平均成長率が伸び悩んで市場規模が縮小するという傾向は、急激かつ着実に進行している。

 2011年1月の日本の半導体売上高の3カ月平均値は、前年比で9.6%増加した。しかし2011年2月には、6.1%に減速。2011年第1四半期の成長率を示す2011年3月の3カ月平均値は、わずか0.2%増の横ばい状態となった。そして2011年4月には、7.0%の減少となったのである。

地震の影響だけではない

 日本市場が縮小したのは、2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災の影響もある。しかし日本の半導体市場は、今回の地震が発生する前から既に急激に弱体化が進んでいたことから、地震以外にも大きな要因があるといえる。それは、日本が国内の完成品の製造拠点をアジア太平洋地域の別の拠点へと急激に移行させているためだ。こうした動きは、今回の地震の影響により、今後一層進むとみられる。

 SIAと欧州半導体産業協会(ESIA:European Semiconductor Industry Association)は、半導体売上高の3カ月平均値を発表している。月間売上高は、四半期初めには低く、四半期末には増大するなど、浮き沈みが激しい。こうした偏りをなくすために、3カ月平均値が算出されている。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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