検索
ニュース

Windows 8が対応するARM SoCはどれか、3社が勝ち、4社が負ける可能性プロセッサ/マイコン

 Microsoftが、Windows 8の仕様をビデオ動画で初披露した。ARMコアを採用したSoCをPC向けに売り込むには、Windows 8対応となるのが早道だ。だが、Windows 8対応のARM版SoCのメーカーリストにはFreescale SemiconductorとMarvell Technology Group、Samsung Electronics、ST-Ericssonの4社が入っていない可能性がある。

PC用表示
Share
Tweet
LINE
Hatena

 Microsoftは、2011年5月31日〜6月4日に台湾の台北市で開催した展示会「COMPUTEX TAIPEI 2011」で、Windows 8をAdvanced Micro Devices(AMD)やIntel、NVIDIA、Qualcomm、Texas Instruments(TI)のプロセッサ上で実際に動作させて見せた。

 Qualcommが2011年6月1日〜2日に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催したプレス向けイベント「Uplinq 2011 Conference」では、ARM版Windows 8のSoCのベンダーとして名前が挙がったのは、NVIDIAとQualcomm、Texas Instrumentsの3社だけである。

 Intelの経営陣は、2011年5月に「MicrosoftはWindows 8の4つの版をリリースする計画だ。1つはx86版で、他の3つは特定モバイル用途向けARM対応のSoC版だ」と語っていた。

 以上の情報が事実だとすると、MicrosoftはWindows 8のSoCメーカーから、モバイル向けARM対応SoCの主要メーカーであるFreescale SemiconductorとMarvell Technology Group、Samsung Electronics、ST-Ericssonの4社を外したことになる。もしこのような結果になると、これら4社は、AMDやIntelという老舗の大手プロセッサメーカーとの競争力を失うことになる。

 Freescale Semiconductorの「i.MX」やMarvell Technology Groupの「Armada」など、これまでにスマートフォンのデザインウィンを獲得していないプロセッサは、今後さらに厳しい状況に追い込まれることになるだろう。

 さらに、ある大手機器メーカーのエンジニアによると、Marvell Technology GroupのArmadaプロセッサは、ARMの命令セットに対応した多くのバージョンがあるため、GoogleのAndroidにも完全には対応していないという。

 現在、スマートフォンやタブレットなど需要の高いモバイル機器への搭載を狙い、各社は数多くのARM対応SoCを開発、製造し、生き残りをかけた激しい競争を繰り広げている。Windows 8が、ノートPC市場とデスクトップPC市場への扉をNVIDIAとQualcomm、TIの3社だけに開いたとすれば、これら3社は2012年の市場競争で非常に優位に立つことになる。

 Microsoftは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器向けシステムの分野では、まだ市場をリードする位置にはない。米国の市場調査会社であるForward Conceptsは、モバイル向けOS市場におけるMicrosoftのシェアは今後拡大を続け、2010年は9%だが、2015年には11%に増加すると予測している。だが、Windows 8がモバイル向けOS市場でどれほどのシェアを獲得できるか、またMicrosoftの十八番であるデスクトップPCやノートPC市場の起爆剤となり得るのかは、現時点ではまだ定かではない。

Windows 8のUIはスマートフォンに向く

 Windows 8のユーザーインタフェース(UI)は、同社の携帯型音楽プレーヤー「Zune」やモバイル機器向けオペレーティングシステム「Windows Phone 7」と似ている。

 MicrosoftのMP3プレーヤZuneで初めて採用され、Windows Phone 7で改良した形で継承したタイル式UIをWindows 8は採用している。このことからも、モバイル機器向けシステムの重要性の高まりを意識して開発を進めていることが分かる。

 タイルUIは表示する大きさを変えたり、各種アプリケーションのアイコンの代わりにライブデータや画像を表示させたりすることができる。使用中のアプリケーションの画面をPCやタブレット、スマートフォンに大きく表示させながら、画面の端にその他のアプリケーションのタイルを小さく表示するといった使い方もできる。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る