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電池レスのセンサー端末から無線LAN機器にデータ送信、発想の転換でルネサスが実現:無線通信技術(2/2 ページ)
センサーノードのピーク消費電力を数μWに抑えつつ、無線LANやBluetoothなどに対応したホスト機器にデータを無線送信できる。環境発電で生成した電力だけでセンサーノードを稼働させられる上、ホスト機器にハードを追加する必要がない。
さらにルネサス エレクトロニクスは、空間を飛び交う電波から電力を回収するエネルギーハーベスティングの効率を高める新技術も開発した。この成果についても、2011 Symposia on VLSI Technology and Circuitsで、16日(Circuitsの部)に発表する。
携帯電話や無線LANといった無線通信や、地上デジタル放送など、環境中の電波をアンテナで受信し、整流して直流電力を得るエネルギーハーベスティングである。これらの電波は、場所や時間帯によって強度の周波数分布が大きく変動するため、定常的に電力を得ることが難しい。そこで同社は、強度の高い周波数を追尾し、その周波数にアンテナの共振点を自動的に合わせる技術を開発した。
実際には、容量可変回路をアンテナに接続し、受信信号の強度が最も大きくなるようにその容量値を調整する。この回路を作り込んだチップを試作し、1.9〜2.4GHzの同調範囲で環境電波を自動追尾したところ、数μ〜数十μWのエネルギーを回収できたという。同社によると、アンテナの共振周波数を固定し、環境電波を追尾できない従来方式では、回収できるエネルギーは数nW〜数百nWにとどまっていた。
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