ホワイトスペースを活用した無線通信、英国は2013年にもサービスを開始か:ビジネスニュース
英国がホワイトスペースの活用に向けて、より積極的な姿勢を見せている。実証実験の準備も進めており、ホワイトスペースを利用した無線通信サービスを、2013年にも英国全土で展開するとしている。
英国の通信規制機関であるOfcom(Office of Communications)は、ホワイトスペースを活用した無線通信を開始する計画を発表した。2013年にも英国全土でサービスを開始し、郊外地域のブロードバンドやWi-Fiサービス、M2M(Machine to Machine)通信に活用する予定だという。ホワイトスペースとは、放送/通信のために割り当てられている電波のうち、実際には利用されていない周波数帯を指す。
Ofcomは、「ホワイトスペースの帯域量は、現在、3G(第3世代)のセルラー通信に使われている帯域量に匹敵する。英国は欧州で初めて、ホワイトスペースを活用した無線通信の導入に乗り出した」と述べている。
ホワイトスペースを活用するには、当然ながら、まずはどの周波数帯がホワイトスペースになっているかを調査する必要がある。例えば、テレビ放送用の周波数帯は、英国内の全地域で常時使用されているわけではない。特に、470MHz〜790MHzにはホワイトスペースになっている帯域が多くみられる。Ofcomは、「今後は、テレビ放送のホワイトスペースだけでなく、FMラジオ放送のホワイトスペースを活用することも検討している」という。
また、Ofcomは一部で予想されていた通り、「ホワイトスペースを活用した通信が他の通信を干渉しない場合に限り、ホワイトスペースを免許不要で利用できるようにしたい」と発表している。
ホワイトスペースを利用した無線通信は、従来の無線LANなどで使用されている2.4GHz帯などよりも周波数が低いほか、伝送距離が長く、家の壁に遮断されにくいといった特徴がある。このため、より充実した位置情報サービスや、より高性能のスマートメータリング、在庫管理システムなどを実現できる可能性がある。
OfcomのCEO(最高経営責任者)を務めるEd Richards氏は、「まずは、英国内のホワイトスペースを確認することから始めたい。英国は、『いかに他の通信を干渉することなく、ホワイトスペースを活用できるか』という課題について、欧州各国に先駆けて取り組んできた」と述べる。
Ofcomは、ホワイトスペースを郊外地域のWi-Fiやブロードバンドサービスの拡張に活用する計画だ。ブロードバンドサービスについては、既にスコットランドのビュート島で実証実験の準備が進められている。また、英国の新興企業であるNeulは、ホワイトスペースを活用したM2M通信を展開する予定だという。
ホワイトスペースを活用した無線通信機器は、従来の無線通信機器とは異なり、まずホワイトスペースのデータベースにアクセスし、どの周波数帯が空いているのか、すなわち利用可能なのかを確認する必要がある。このデータベースは随時更新しなければならない。
Ofcomは、データベースの開発をサードパーティの事業者に依頼することに決めているという。ただし、まずは、ホワイトスペースを免許不要で利用できるようにするための法案を通すことが先である。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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