Appleが「iPhone 4S」の部品発注を削減か、半導体メーカーに影響も:ビジネスニュース 企業動向
Appleが、「iPhone 4S」の部品発注を控えている可能性があると報じられた。スマートフォン市場をけん引してきたAppleが部品の発注を抑えているならば、「同市場にとっては、“警告”となるのかもしれない」と分析するアナリストもいる。
中国Commercial Times紙は、「Appleは、需要の低迷とサプライチェーンの不足を受け、『iPhone 4S』の部品発注を削減している可能性がある」と報じた。
同紙は、「iPhone 4Sのサプライチェーンからの情報によると、プレセールでは好調だった売り上げが徐々に減ってきていることから、Appleは2011年第4四半期に、『iPhone』と『iPad』の両方の部品発注を10〜15%削減する可能性があるという」と伝えている。
こうした動きが、台湾のHon Hai Precision IndustryのようなAppleの製造パートナーや、ケースメーカー、カメラの組み立てメーカーといった部品メーカーに影響を及ぼすことは明らかだ。
Commercial Times紙は、「Appleの決定は、世界の半導体企業にも影響を及ぼすだろう。受注調整の結果、半導体メーカーの利益は10〜15%低減するとみられる」との見解も示している。
また、台湾のニュースメディアDIGITIMESも、「Appleからの受注減が影響して、Hon Hai Precision Industryの他、台湾に拠点を置く部品メーカー数社が2011年10月の売上高を落とした」と報じた。
米国の金融サービス会社であるJPMorgan Chaseは2011年9月に、「Appleは、iPadのサプライチェーンのベンダーへの部品発注を削減するとみられ、Hon Hai Precision Industryの売上高にも影響が及ぶと予想される」と発表している。
世界経済の状況はますます厳しくなり、多くの企業が、2011年第4四半期に備えて経費削減に取り組む中、こうしたニュースが報道された。アナリストらは、「Appleは、需要の低迷によって窮地に陥らないように、在庫を減らす戦略をとっている」と指摘する。
台湾の技術解説者であるSascha Pallenberg氏は、「経済の低迷は、Appleにも影響を及ぼすだろう。iPhone 4Sの発売当初に売り上げが好調だったのは、従来のiPhoneユーザーが通信会社との契約を更新したことと、Appleのコアなファンのおかげにすぎない」と述べる。
「iPhone 4Sの発売以降、GoogleとSamsung Electronicsが共同開発した『Nexus S』や、Motorolaの『RAZR』、OSに『Windows Phone』を採用したNokiaの『Lumia』など、さまざまなスマートフォンが市場に投入された。High Tech Computer(HTC)も近日中に新しいスマートフォンを発表するといわれている」(Pallenberg氏)。
Pallenberg氏は、「これらのスマートフォンは激しい競争を繰り広げることが予想される。Appleはこれほどの競争は経験したことがない上に、スマートフォン市場のシェア争いは今後も激化すると思われる」としながらも、「2011年第4四半期におけるスマートフォンの売上高は、Appleが首位の座を維持する」という予想を崩していない。
また、アナリストのRob Enderle氏は、「Appleはかつてない競争に直面しており、世界経済の低迷が携帯機器の需要を押し下げると予想される。こうした市場の状況を考えれば、同社が部品の発注を削減するのは当然だといえる」と述べた上で、「ただし、スマートフォン市場におけるこれまでの実績からみて、Appleは消費者需要の低迷による影響を比較的受けにくいはずだ。そのAppleが部品の発注を控えているとなると、スマートフォン市場にとっては、ある種の“警告”なのかもしれない」と語った。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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