EDAツール業界で大型買収、最大手のSynopsysがMagmaを買収へ:ビジネスニュース 事業買収
近年のEDA業界では最大規模の買収となる。長年にわたってライバル関係にあり、2000年代には特許係争を繰り広げた2社が統合されることになる。Synopsysは、Magmaの製品の提供をすぐに打ち切る考えは無く、顧客と話し合いながら両社の製品ロードマップの統合を進めるとしている。
EDAツールとIPコアの大手ベンダーである米国のSynopsys(シノプシス)は2011年11月30日(現地時間)、競合EDAベンダーのMagma Design Automation(マグマ・デザイン・オートメーション)を買収することで最終契約を締結したと発表した(参考リンク:Synopsysの英文プレスリリース)。買収額は5億700万米ドルに達する。
Synopsysは、Magmaの株式を1株当たり7.35米ドルで取得する。この買収取引は2012年の第2四半期に完了する見込みだ。近年のEDA業界では最大規模の買収となり、長年にわたってライバル関係にあった2社が統合されることになる。
2000年代にSynopsysとMagmaは、特許をめぐって長年におよぶ係争を繰り広げた。この係争は2006年の公判でやっと終結し、2007年に判決が確定した。
Synopsysの会長兼CEOを務めるAart de Geus氏は、過去の係争はもう「過ぎ去ったこと」だと述べた。同氏によると、一般にEDA業界と半導体業界は、急激な変化が常に起きている業界だという。同氏は、これらの業界において今回の買収のような変化が起きるのは当然のことだと捉えており、「我々はそれを楽しみにしている。全ては、『顧客に成功をもたらすために我々ができることは何か?』である」と語った。
EDA分野の市場調査会社Gary Smith EDA. Smithでチーフアナリストを務めるGary Smith氏は、今回の買収はSynopsysに大きなメリットがあるという。Synopsysが取り組んできたアナログカスタムIC向けEDAツールが市場で十分な成功を収められていない一方、Magmaはその分野における勝者の地位を獲得していたからだ。Synopsysは「大物を釣り上げた」(Smith氏)。
ただしSynopsysのde Geus氏によれば、買収の動機になったのはMagmaの特定の製品群ではないと言う。同氏は、SynopsysはMagmaの買収を研究開発の人員を強化するチャンスとして捉えていると話す。
この買収手続きは、2社の株主の承認を含む、取引実行条件の遂行を待って進むことになる。Synopsysのde Geus氏は、製品サポートに関してはまだ何も決まっていないとしているが、顧客に最大限の配慮をすると示唆している。
Synopsysでマーケティング担当のシニアバイスプレジデントを務めるJohn Chilton氏によれば、同社はMagmaの製品の提供を買収の時点では一切打ち切るつもりはないと言う。Synopsysは顧客と話し合い、それを元にSynopsysとMagmaの製品ロードマップの統合を進めていく考えだ。
【翻訳/編集:EE Times Japan】
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