パワー半導体の世界市場は13年から増加へ、17年には261億ドルまで拡大:ビジネスニュース 市場予測
矢野経済研究所が発表した市場調査の結果によると、パワー半導体の世界市場は、足元では太陽光発電向け投資の冷え込みや、欧州の債務不安、中国における設備投資の低迷などが続いており、2012年前半は低調に推移するとみられる。その後、2012年後半から緩やかな増加基調に戻り始めると予測される。
市場調査会社の矢野経済研究所は、パワー半導体の世界市場に関する調査結果を発表し、同市場が2013年から増加基調に戻り、2017年には261億2000万米ドル規模に達するとの予測を示した(図1)。同社は2011年の市場規模を156億7000万米ドルと推定しており、それを基に、2011年から2017年までの年平均成長率は8.9%、2017年の市場規模は2011年の1.7倍になると予測している。
同社によるとパワー半導体の世界市場では、2011年後半から太陽光発電向け投資の冷え込みや、欧州の債務不安、中国における設備投資の低迷などが続いている。そのため同社は、「2012年前半のパワー半導体は厳しい市場環境となる」と分析する。ただし、「民生機器における在庫調整が一巡する2012年後半から緩やかな増加基調に戻る可能性が高い」(同社)とみており、「中長期的には、中国におけるエアコンの省エネ基準の改定、欧州における洋上風力発電の進展、次世代自動車(HV/EV)の普及拡大などが期待される」(同社)ことから、2017年のパワー半導体の世界市場は261億2000万米ドルに達すると予測した。
今回の調査は、矢野経済研究所がパワー半導体とカーエレクトロニクス機器、ウエハーそれぞれの分野のメーカー各社に対して、2011年9〜12月に実施したもの。電力のスイッチングや変換、モーター制御などに使われるパワーMOSFETやIPD(Intelligent Power Device)、ダイオード、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーモジュール、バイポーラトランジスタ、SiCデバイスなどのパワー半導体を対象にしている。
同社のWebサイトでは、この調査結果の概要をPDF形式で公開している他、詳細をまとめた資料「2011-2012 進展するパワー半導体の最新動向と将来展望」も販売している。
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