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−最終回−若手エンジニアへのエール〜この激動の時代、回路設計者として生きるということ〜Analog ABC(アナログ技術基礎講座)(3/3 ページ)

アナログ回路はシステム全体から見ると、非常に小規模な回路であることが一般的です。ただ、その小さな回路が周囲とどのように絡んでいるのかを「仕様書の数字の先にあるもの」、つまり開発の背景やその数字となった経緯など、仕様書に込められている「想い」や「夢」を一緒に開発する仲間はもちろん、パートナーやお客さんと共有できることが大切なのです。

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実験で自ら体験することを大切に

 ぜひ、計算やシミュレーションだけで終わりにしないで、実験することを大事にしてください。実験することで、さまざまなことを頭ではなく体が覚えてくれます。

 「1μA」がいかに微弱な電流なのか、「100V」がどんなに怖い電圧なのか、自らの体で触れて覚えることが大切なのです(「感電しろ」と言っているわけではありません)。「100V与えても大丈夫」という結果を、計算機がいくら出したとしても、そんな大きな電圧を小さなトランジスタに入力したら壊れてしまわないか? と気付く感覚を持つことが必要です。自分が設計に関わる回路のトランジスタや抵抗の気持ちが分かるようになれば不具合は発生しませんし、仕事が楽しくて仕方なくなるはずです。

図
写真はイメージです

 これまで愛読していただいた読者の皆さま、ありがとうございました。私は文章を書くことが苦手なので、分かりにくかったり、くどかったりという個所があったかもしれません。どうかご容赦ください。最後になりますが、このような最高の環境で仕事をさせてもらえていることを当社D-CLUE Technologiesの代表取締役社長に、そして忙しい中、無理をして原稿のチェックをしていただいた仲間に深く感謝致します。本当に、ありがとうございました。


Profile

美齊津摂夫(みさいず せつお)

1986年に大手の通信系ハードウエア開発会社に入社し、光通信向けモジュールの開発に携わる。2004年に、ディー・クルー・テクノロジーズに入社。現在は、同社の常務取締役CTO(最高技術責任者)兼プラットフォーム開発統括部長を務めている。「大学では電気工学科に所属していたのですが、学生のときにはアナログ回路の勉強を避けていました。ですから、トランジスタや電界効果トランジスタ(FET)を使ったアナログ回路の世界には、社会人になってから出会ったといっていいと思います。なぜかアナログ回路の魅力に取りつかれ、23年目になりました」。



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