Googleが「MIPS版」Androidにてこ入れ:ビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)
ほとんどのAndroidタブレットはARMプロセッサコアを搭載している。だが、プロセッサコアの候補は他にもある。「MIPS」と「x86」だ。GoogleはMIPS対応に力を入れている。まずMIPS用コンパイラを投入し、数カ月以内にはMIPS向けのABI(Application Binary Interface)をAndroidに追加する。MIPS採用はコスト面で有利であり、性能も十分だという。
米Googleは今後、米MIPS TechnologiesのプロセッサコアをベースとしたAndroid端末のサポートを強化していくようだ。MIPS Technologiesは、爆発的な成長を遂げているスマートフォン市場やタブレット端末市場において大きな後押しを受けられることになる。
Googleは今後数週間以内に、AndroidのNDK(Native Development Kit)へMIPS対応のGNUコンパイラを追加する予定だという。続いて、MIPSアプリケーションバイナリインタフェース(ABI)を拡充する。対象は全てのAndroidコードとライブラリだ。今後数カ月以内にリリース予定のAndroidの最新バージョン*1)から適用を開始するという。
*1) Googleは2012年3月28日にAndroid 4.0.4(コード名「Ice Cream Sandwich」の最新版)を公開している。
MIPSベースのAndroid端末が増加
MIPS Technologiesの主席モバイルアーキテクトを務めるAmit Rohatgi氏は、米国カリフォルニア州サンノゼで2012年4月16〜17日に開催された「Linley Tech Mobile Conference」において、「Googleは、MIPSベースのAndroidタブレットの量産規模に注目し始めている」と述べた。
同氏によれば、MIPSベースのAndroidタブレットの出荷台数は、累計で約180万台に上るという。その大半は、中国の機器メーカーが手掛ける低価格の端末で、それらはMIPSからライセンス供与を受けた中国Ingenic Semiconductorなどの半導体ベンダーのSoC(System on Chip)を採用している(図1)。
オランダRoyal Philips Electronicsは最近、業界最大手のメーカーとしては初となる、Ingenic Semiconductor製のSoCを搭載したAndroidタブレットを出荷した。中国メーカーが手掛ける主流のタブレット端末と同様に、7インチ型ディスプレイを搭載している。
MIPS Technologiesは、財務状況の悪化を理由に事業を一部売却する可能性があると報じられていた。同社のアーキテクチャは、ネットワーク通信やセットトップボックスなどの分野において確固たる地位を確保しているが、ARMが君臨するモバイル分野においては、まだ十分な足掛かりを得られていない。
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