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シャープが最高効率の太陽電池を開発、3接合で43.5%エネルギー技術 太陽電池(1/2 ページ)

住宅の屋根置き用途などに使われているSi(シリコン)太陽電池は、理論効率が30%以下であり、販売されている製品では20%程度である。30%を突破可能な太陽電池の方式は複数あるものの、実用化段階に入っているのは多接合太陽電池だけだ。シャープは多接合太陽電池の世界記録を達成したという。

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シャープが最高効率の太陽電池を開発、3接合で43.5%
43.5%の太陽電池セル

 太陽電池の変換効率を高める試みが止まらない。

 ここ20年、さまざまな方式が登場してはいるものの、変換効率競争の先頭を走っているのは常に多接合太陽電池だ。これは、米国のNREL(National Renewable Energy Laboratory、国立再生可能エネルギー研究所)が公開する最新の資料を見れば明らかだ(図1)。

太陽電池の効率を高めるには

シャープの方式以外にも、さまざまな高効率化技術が研究されている。関連記事:「太陽光を無駄なく使う、201X年の技術」は、こちらから。2030年までの各種技術の見通しは、こちらから。




図1 太陽電池の変換効率一覧(クリックで拡大) 紫色は多接合とGaAs(ガリウムヒ素)の単接合、濃い青は結晶Si(シリコン)、緑は薄膜、オレンジは新規技術だ。1990年代前半以降、2接合(▲)が最先端を走り、2000年以降は図右上に向かって伸びる3接合(▼)の独壇場になっていることが読み取れる。「418x」などの表記は「418倍の集光」という意味。出典:NREL(2012年第5版)

 シャープは2012年5月31日、3接合の太陽電池セルで変換効率43.5%という記録を達成したと発表した(図2)。集光時の変換効率であり、図1と比較すると世界タイ記録だということになる*1)。受光面の電極間隔を最適化し、電気抵抗を最小限に抑えることで達成したという。

*1) シャープの記録は、米Solar Junctionが2011年に400倍集光時に達成した変換効率43.5%と同じ値である。


図2 変換効率43.5%を達成した太陽電池セル 4mm角程度の小型セルである。セル面積は約0.167cm2。太陽光を306倍に集光した結果である。第三者機関である独Fraunhofer Institute for Solar Energy Systems(フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所)が変換効率を測定した。出典:シャープ

多接合のメリットとは

 シャープの方式は「化合物3接合太陽電池」と呼ばれる。基本的な考え方はこうだ。太陽に向かって最上位の層(トップ層)でエネルギーの高い短波長の光を吸収し、中間層(ミドル層)で中程度の波長を、最下層(ボトム層)で長波長の光を吸収することで、太陽光スペクトルから可能な限り大量の電力を取り出すというものだ(図3)。それぞれの層にIII-V族の化合物半導体を用いているために化合物3接合と呼ぶ。


図3 3接合太陽電池の変換効率が高くなる理由 左は化合物3接合太陽電池の構造。右は住宅の屋根置き用途などに多用されている多結晶Si太陽電池である。化合物3接合太陽電池では太陽光スペクトルの3つの領域を3層の化合物半導体がそれぞれ吸収している(図左上)ことに対し、結晶Si太陽電池は吸収する領域が狭い(図右上、赤点線は化合物3接合太陽電池の吸収領域と比較した)。なお、この図にある化合物3接合太陽電池の層構造はシャープが2011年11月に公開した時点のものであり、今回の構造とはミドル層やボトム層の化合物の種類が異なる。出典:シャープ

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