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Cypressの日本法人社長が交代、元ルネサスSoC事業本部長の山田和美氏ビジネスニュース 企業動向

アナログとデジタルの周辺機能をユーザーが手元でカスタマイズできるフラッシュマイコン「PSoC」の他、タッチパネルコントローラや高速SRAMなどを手掛けるCypress。その日本法人の新社長に就任するのは、ルネサス エレクトロニクスで執行役員・SoC事業本部長を務めた人物だ。

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 米国の半導体ベンダーであるCypress Semiconductor(サイプレス セミコンダクタ)は2012年6月18日(米国時間)、日本法人である日本サイプレスの社長に山田和美氏を任命したと発表した。山田氏は、2011年までルネサス エレクトロニクスで執行役員・SoC事業本部長を務めていた人物である。同年10月に日本サイプレスに入社し、国内の主要顧客に対する営業活動を統括していた。2012年7月1日付で同社の代表取締役社長に就任する。現任の社長である吉澤仁氏は、同日付で代表権を持たない非常勤の会長に就任するという。

 Cypress Semiconductorは、アナログとデジタルの周辺機能をユーザーが手元でカスタマイズできるユニークなフラッシュマイコン「PSoC」の他、同マイコンをベースにした静電容量方式のタッチパネルコントローラや、高速SRAM、USBコントローラなどを手掛けている。

 山田氏は、就任に当たって東京都内で開催した記者会見において、日本市場における今後の戦略を説明した。

山田和美氏
山田和美氏 2012年7月1日付で日本サイプレスの代表取締役社長に就任する。同社入社以前は、ルネサス エレクトロニクスで執行役員・SoC事業本部長を務めていた。

 同氏によると現在同社は、タッチパネルコントローラと高速SRAMで高い国内シェアを獲得している。例えば、「タッチパネルコントローラは、国内のデジタルカメラ市場で9割を超えるシェアを握っている」(同氏)という。これらの製品群については、高機能の製品を継続的に開発・提供することに加えて、顧客価値を最大化する提案に力を入れることで、シェアを維持していくという方針だ。

 ただし、幾らシェアが高くても、その市場の大きさを超えて売り上げを高めることはできない。そこで今後は、これまでは積極的に狙っていなかったが、日本国内の市場規模が大きかったり、日本企業が世界市場で高い競争力を持っていたりする領域に打って出る。具体的には、エネルギーなど各種社会インフラやFA機器などを含む産業領域の他、自動車やヘルスケアの領域に向けた提案に注力する方針である。

 この新たな領域の市場攻略に向けた方策としては、例えば、「自動車分野の案件を“半専任”で受け持つ、品質保証(QA)担当者と営業/マーケティング担当者、アプリケーションエンジニアリング担当者からなるチームを立ち上げた」(山田氏)としている。「自社内にQAラボを設けることは難しいかもしれないが、今後はQA専門のサードパーティー企業と連携することなどで、ユーザーサポート体制をさらに強化することを検討していきたい」(同氏)。

Ramtronへの買収提案について米国本社の幹部が語る

 今回の社長就任会見には、Cypress Semiconductor米国本社でExecutive Vice President of Sales and Marketingを務めるChristopher Seams氏も登壇し、日本市場の位置付けを語った。

Christopher Seams氏
Christopher Seams氏 Cypress SemiconductorでExecutive Vice President of Sales and Marketingを務めている。

 同氏によると、同社の世界における売上高のうち、日本市場の比率は12%で、これは米国市場の11%を上回るという。さらに、売上高の伸び率について見ても、リーマンショック後の2009年に大幅に落ち込んだ後、2010年と2011年は日本法人の伸び率が全社のそれを上回っており、財務面での貢献度が高いと説明した。

 さらに同氏は、質疑応答の中で、Ramtron International(ラムトロンインターナショナル)に対する買収提案の狙いについて語った。Ramtronは、不揮発性メモリのFRAM(強誘電体メモリ)を手掛ける米国の半導体ベンダーである。CypressはRamtronに対して今週(2012年6月12日)、同社の株式を総額約8600万米ドルで買い取るという提案を送り、それを公表していた(米EE Timesの英文記事)。この買い取り価格は、Ramtron株の6月11日付の終値に37%のプレミアを乗せたもので、1株当たり2.48米ドルである。

 Seams氏によれば、CypressにとってRamtronのFRAM製品は、自社のSRAM製品と補完的な関係にあるという。単体のメモリ製品として販売することを想定しており、PSoCマイコンに内蔵する不揮発性メモリとして応用することは考えていないと説明した。

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