【NIWeek 2012】複雑度増すシステム開発、「V字モデル」を進化させる手法をNIのCEOが語る:テスト/計測
National Instrumentsのカンファレンス兼展示会「NIWeek 2012」が開幕した。最初の基調講演には同社の創設者でプレジデント兼CEOであるJames Truchard氏が登壇し、「System Design for the 21st Century」というタイトルのプレゼンテーションを通じて、同社のビジョンを語った。
National Instruments(NI)のカンファレンス兼展示会「NIWeek 2012」が、2012年8月6日(現地時間)に開幕した。
NIWeekは、同社が本社を構える米国テキサス州オースチンで毎年8月に開催している年次イベントである。同社幹部による基調講演の他、同社の主力製品であるグラフィカル開発ツール「LabVIEW」や計測/制御ハードウェアなどを紹介する展示会と、6つの分野(エネルギー、ロボティクス/自律走行自動車、航空/防衛、RF/ワイヤレス、画像処理、ビッグフィジックス/サイエンス)に分かれた技術サミットで構成されている。8月9日までの会期で、技術セッションの数は合計275に上る。このイベントに合わせて、LabVIEWの最新版や、計測・制御に関連したさまざまなハードウェアの新製品をNIが発表することも特徴だ。同社によると、今回の参加者は3400人を超え、過去最高を記録したという。
初日は教育機関からの参加者とNIのパートナー企業向けのイベントが開催され、2日目(8月7日)から一般ユーザー向けの技術サミットが始まり、本格的な開幕となる。その幕開けを告げる最初の基調講演には、同社の創設者でプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるJames Truchard氏が登壇し、「System Design for the 21st Century」というタイトルのプレゼンテーションを通じて、システム設計の進展とNIの歩みを振り返るとともに、これからのシステム設計に向けた同社のビジョンを語った。
同氏は、システム開発プロセスとしてV字モデルが注目される中で、同社が「グラフィカルシステム開発」と呼んで提唱する手法を適用すれば、複雑度が高まり続けているシステム開発の現状に対応できるとの見解を示し、計測/テストや組み込み機器開発、機器制御、ロボット開発といったさまざまな分野に対して、その手法の強化を続けると表明した。
また、同氏はこれまでの製品開発の歴史を振り返り、LabVIEWを中核とするシステム開発ツールを構築して市場に提供してきた同社の取り組みが、カリフォルニア大学バークレー校におけるエレクトロニクス設計ツールの開発と歩調が同じであったことも紹介した。
図の上側はLabVIEWを基盤とするシステム開発ツールの歴史で、下側はエレクトロニクス設計ツールの開発で知られるカリフォルニア大学バークレー校の取り組み。NIでは、LabVIEWを基盤とする「プラットフォームベース・アプローチ」を基本コンセプトに、多くの機能を追加して、システムレベルの開発に使えるツールに育て上げてきた。また、CPUやFPGAなど最新の技術を駆使して高速・高性能化にも取り組んでいる。一方バークレーでは、時間軸をほぼ同じくして、SPICEから始まったエレクトロニクス設計ツールが、やがて高度なデータフロー型のプログラミング言語などの開発に発展していった。
さらに同氏は、同社が数年前から提案してきたグラフィカルシステム開発の手法について、LabVIEWを単なる開発ツールではなく、LabVIEWで作成したアプリケーションソフトウェアを動かすさまざまなターゲットハードウェアを合わせて、「グラフィカルなシステム開発のプラットフォームへと進化させていく」ことを重ねて強調した。そのための継続的な開発投資も強化していく考えだという。
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