まもなく発売の「iPhone 5」、クアッドコア搭載でLTE対応が濃厚:ビジネスニュース(1/2 ページ)
今週中にも発表されるとみられているAppleの「iPhone 5」。ARMのクアッドコア版の「Cortex-A9」を搭載し、LTEに対応しているという見方が大半だ。一方で、近距離無線通信であるNFCをサポートしているかについては、意見が分かれている。
Appleは、今週中に「iPhone 5」を発表するとみられている。iPhone 5は、カスタム設計のクアッドコアプロセッサを搭載し、LTE(Long Term Evolution)に対応する他、改良したイメージセンサーや小型のコネクタを搭載していると言われている。また、アナリストの間では、iPhone 5がNFC(Near Field Communication)に対応するかどうか、ディスプレイが大型化されているかどうかという点について、現在も議論が交わされている。
Appleは2012年9月12日(現地時間)に、米国カリフォルニア州サンフランシスコのYerba Buena Centerでプレス発表を行う。iPhone 5はこの時に発表されるとうわさされている。iPhone 5に搭載されている部品については、発売後に専門家が分解を行うまで明らかにはならないだろう。
Appleは、iPhone 5の発売によって、ライバルであるAndroid陣営に追い付きたい考えだとみられる。ARMのクアッドコア構成の「Cortex-A9」を搭載し、LTEに対応したAndroidスマートフォンが既に発売されているからだ。
プロセッサはクアッドコア構成
UBM TechInsightsで製品分解を担当するAllan Yogasingam氏は、「もしAppleが、これまでの『Aシリーズ』(アプリケーションプロセッサ)と同じプロセッサベンダーを採用するのであれば、次世代版Aシリーズは、Cortex-A9とグラフィックスコア『PowerVR』を4コアずつ搭載するとみられている。また、iPhone 5は最新の『iPad』と同様に、Qualcomm のベースバンドプロセッサ『MDM9600』を搭載し、LTEに対応すると予想されている」と述べる。なお、UBM TechInsightsは、EE Times誌と同じくUnited Business Media傘下の技術情報サービス企業である。
LTE対応がより進む
Appleの最大のライバルであるSamsung Electronicsをはじめとする携帯電話機メーカーは、LTEに対応した携帯電話機を既に発売している。米国の市場調査会社であるForward Conceptsで主席アナリストを務めるWill Strauss氏は、「Appleは、他社との差異化を図るべく、中国の3G携帯電話通信規格である『TD-SCDMA』にも対応したベースバンドチップを搭載する」と予想している。
Strauss氏は、「TD-SCDMAへの対応は、素晴らしい戦略だ」と述べる。「世界中の全てのLTEに対応することは難しい。だが、LTEとTD-SCDMAに対応すれば、世界中のほとんどの地域で使うことのできる唯一の携帯電話機になり得る。TD-SCDMAの市場は既に構築されており、同規格に対応した携帯端末を販売する中国のChina Mobileは、AT&TやVerizonをしのぐ世界最大規模の通信事業者に成長している」(Strauss氏)。
AppleがARMの最新コア「Cortex-A15」を4コア搭載すれば、同社のアプリケーションプロセッサの性能は飛躍的に向上する。クアッドコア版のCortex-A15チップは、Texas Instrumentsがセルラー基地局向けに販売を開始している。しかし、Yogasingam氏とStrauss氏は、iPhone 5がCortex-A15を搭載するという予想については、「飛躍しすぎだ」として否定している。両氏は共に、AppleのAシリーズにはCortex-A9が4コア搭載されると予測している。
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