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今日から実践! 上司のための“簡単”コミュニケーション術いまどきエンジニアの育て方(11)(2/3 ページ)

“コミュニケーション術”といっても、構える必要はありません。ほんの少しコツを知っていれば十分です。例えば皆さんは、部下に「頑張ってね」と言いますか? それとも、「頑張ってるね」と言うでしょうか。たった1文字違うだけで、相手に伝わるメッセージは大きく異なります。

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 バッターボックスに立った佐々木さんの自発性を、より発揮させるためにはコーチングが有効です。佐々木さんとのやりとりで、田中課長は佐々木さんの問いに対して、ティーチングとコーチングを使い分けています。忙しい開発部門の上司が専門的にコーチングを学ぶ必要はありません。ちょっとしたコツだけを知っていれば十分です。

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図1 ティーチングとコーチングの概念図

 図1は、コーチングとティーチングを模式的に示したものです。OJT(On the Job Training)も知識やスキルを身に付けさせるものなので、カテゴリ的にはティーチングに含まれます。相手の知識やスキル、経験が低ければ低いほど、ティーチング(教える)の比率は高くなります。ティーチングとコーチングの違いを図2に示しますが、自発性を生むにはコーチングが向いていることが分かるでしょう。

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図2 ティーチングとコーチングの違い

 佐々木さんは知識・スキル・経験のいずれも少ないので、どうしてもティーチングの比率が多くなりがちです。ですが、それではいつまでたっても、自発性はもちろん自分の頭で考える力はつきません。先の会話のように、答えを教えるのではなく、質問で返して部下に考えさせることが重要です。

 自然にできている上司の方も多く見られますが、時間に追われている開発現場では、部下からの質問に対する上司の対応は二分します。

  • 1から10まで教えてしまう
  • そんなことも知らないのかと突っぱねる

 中には、「そんなことも知らないのか?」とぶつくさ言いながらも、とりあえずは教えてくれる上司もいます。しかし、「ヒントを与えて考えさせる」ということは、時間に追われる開発現場では難しく、余力のある時にしかできません。

聞き上手になる6つのポイント

 自発性を促すためには、上司は“良き聞き手”でなければなりません。つい言いたくなる気持ちも分かりますが、聞き上手になるポイントを6つにまとめましたので、ご覧ください。

(1)聴く(≠聞く):相手の思考を遮らない
(2)しゃべらない:言葉のトーン、表情、しぐさなど、気持ちや感情に注目
(3)繰り返す(リフレイン):受け取った言葉をそのまま返す
(4)間合いをとる(ペーシング):相手のリズムやトーンに合わせる
(5)相づち:「聴いていますよ」という安心感を相手に与える
(6)促す:話の核心に向かわせる

 佐々木さんとのやりとりで、田中課長は(3)のリフレインを行っていたことになります。

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