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中国は“フリーズモード”に入っている、NXP SemiconductorsのCEOが見解ビジネスニュース 業界動向

半導体大手のオランダNXP SemiconductorsでCEOを務めるRick Clemmer氏がEE Timesのインタビューに応えた。同氏は中国経済の状況について、「過去数四半期間、“フリーズモード”に入っている。理由は2つあり、中国経済の低迷と、新政権への移行に関する不透明な状況だ」と述べた。

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 中国の経済状況を把握するには、中国における製造業の購買担当者景況指数(PMI:Purchasing Managers’ Index)に注目するとよい。2012年10月に報告された最新PMIは49.1で、同年9月の47.9から上昇した。この速報値は、中国の製造業における最新の受注状況を示す指標とされている。

 この値が50を下回っていれば、中国の産業が依然として低迷状態にあることを意味する。ただし、現在のこの数字は、中国の製造業が回復し始めた可能性を示唆している。

 はたして、実際に中国の製造業は回復し始めているだろうか。

 筆者は先週(2012年10月22日の週)、NXP SemiconductorsのCEO(最高経営責任者)であるRick Clemmer氏にインタビューし、「中国の経済低迷は、NXP Semiconductorsにどのような影響を及ぼしているか」と尋ねた。Clemmer氏は「重大な影響を及ぼしている」と答え、その理由について「NXP Semiconductorsは、実質的には中国企業であるとも言える。当社は、中国で8000人の従業員を擁しており、収益の50%近くを中華圏で得ている」と説明した。

 筆者は2012年8月初旬に本誌(米国のEE Times)で、中国の製造業のPMIが8カ月ぶりに下落し、2012年下半期が低調なスタートになったことを伝えた。中国の製造業は、ほぼ1年間にわたって停滞している。

 だがここに来て、中国の経済低迷は底を打った感があり、回復の兆しが見え始めた。ただし、はっきりとした影響が表れるには、まだ少なくとも1〜2四半期かかると思われる。

 Clemmer氏は今回のインタビューで、「中国は過去数四半期間、“フリーズモード”に入っている。理由は2つあり、中国経済の低迷と、新政権への移行に関する不透明な状況だ」と述べた。

 同氏は、「当社の販売パートナー各社からの報告によれば、2012年第3四半期も5〜10%の売り上げの減少が続く見通しだ」と述べている。

 これは、収益の半分近くを中国で生み出しているNXP Semiconductorsにとって悪い兆候だ。「中国が新政権に移行した後、事業は好転すると思うか」という質問に対し、Clemmer氏は、「そうなるだろうとは聞いているが、今後の行方については誰にも分からない」と述べた。

 現在の中国の5カ年計画(第12次5カ年計画)では、省エネが目標の1つに定められており、政府は積極的に取り組んでいる。エネルギーの削減という目標を達成するには、LEDなどの固体素子を利用した照明や、スマートグリッドの導入が重要だ。Clemmer氏は、「スマートグリッドでは、送電網が何者かによって遠隔操作されないようにするために、最善のセキュリティが必要となる。そうしたセキュリティアプリケーションは、NXPにとって大きな市場機会になる可能性がある」と述べた。

 同氏は、「中国では多くの商談を持ち、いくつかのデザインウィンを獲得したが、製品の出荷においてはまだ大きな進展は達成できていない」と述べている。なお現時点でNXP Semiconductorsは、2012年第4四半期の製品売上高を3〜9%のマイナスと見込んでいる。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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