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「サンマとサバ」をファジィ推論で見分けよ! 史上最大のミッションに挑む「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論 ―番外編―(1/4 ページ)

製品名に「ファジィ」と付ければ、家電が飛ぶように売れた時代。電子レンジの開発に携わる私に突き付けられた課題は、「10種類の食品をファジィ推論で判別する」というものでした。今回は、私の代名詞とも言える、「サンマとサバの研究員」としての原点をお話します。

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 こんにちは、江端智一です。私のプロフィールをご覧になった方はご存じかと思いますが

……「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、……(中略)……まで幅広い分野の研究開発に携わる。

の、「サンマとサバの判別方法」について、連載当初からさまざまな臆測がネット上で展開されております。ネタ、またはガセだろうという「江端『うそつき』論」から、単にセンサーカメラを設置しているだけだろうという「江端『大げさ』論」まで、多岐にわたっております。

 私としては、正直、どーでも良いと思っていましたが、私自身のブランディング(ブランド化)ができれば、ちょっとはEE Times Japan編集部のお役に立つかな、と。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 苦笑、失笑なんてレベルではなく、大爆笑ものですよね。でも、この「ブランディング」という言葉、編集部の担当の方に教えてもらったんですよ。簡単に言うと、私に芸能人の木村拓哉さんのような著名度があれば、私の名前だけで、ページヒット数が上がるわけで、そうなると、担当の方の助けにもなるのかな、と思いまして。

 「2ページ程度でお願いします」という依頼に対して、13ページ(図表あり)で納品する私は、担当の方にとって、きっと迷惑な執筆者であると思います(※編集担当注:意外と大丈夫です)。私なら、私を担当するのは絶対嫌です。それ以外にも、文章の構成や見せ方などをいろいろ工夫していただき、「プロの技はすごいなぁ」といつも感心し、感謝しているのです。

 それはともかく。

■木村拓哉の「抱かれたい男性芸能人」に対して、
■江端智一の「サンマとサバの研究員」というのは、

――まあ、おおむね、妥当なブランディングだと思うわけですよ。

「ファジィ」と付ければ家電が売れる

 今になってみれば「若かった」と思うのですが、かつて私は、「大学在学中の研究テーマで一生研究が続けられる」と信じていたのです。

 私の大学在学時代の研究は、「自己学習型の人工知能による制御」。簡単に言うと、PCが自分で状況を把握しながら、賢くなっていくという研究です。まあ、この手の研究は、昔から今に至るまでうんざりするほどありました。特に野心にあふれる20代の研究員には魅力的に映っていたものの、現時点に至るまで大した成果は上っていません。21世紀が始まって10年も経過しているのに、いまだに「ドラえもん」が発明されていないのはもちろん、PCと会話すらできていないですしね。

 ともあれ、私が入社した当時、世間は「ファジィ推論」「ニューラルネットワーク推論」という技術が流行していました。技術の世界にも「流行」というものがあるのです。あの流行は、結構すごかったですね。「ファジィ推論」という言葉は「あいまい推論」と誤訳されて、CMなどにも登場したくらいでしたから。

 世間が踊っていれば、技術の世界も踊るのです。「ファジィ」と「ニューロ」という言葉が製品名に付いているだけで、家電製品が売れまくっていたという時代――それは、バブル時代とも呼ばれる時代でした――があったのです。

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