台湾エレクトロニクス産業の“いま”を知る――TAITRONICS 2012リポート:台北国際エレクトロニクス見本市(1/2 ページ)
台湾・台北市の台北世界貿易中心南港展覧館で「TAITRONICS 2012(台北国際エレクトロニクス見本市)」がこのほど開催された。TAITRONICSは電子部品や電源、計測器などの見本市だ。台湾のエレクトロニクス業界の“いま”をリポートする。
CEATEC JAPANの翌週となる2012年10月9〜12日、台湾の台北市で各種電子部品・部材、電源、計測器などの見本市「TAITRONICS 2012(台湾国際エレクトロニクス見本市)」が開催された。台湾のエレクトロニクス企業の展示や取材から、この“台湾発、エレクトロニクスイベント”を紹介する。
台湾エレクトロニクス産業の全体が見えるTAITRONICS
台湾で開催される見本市といえば、毎年6月に開催されるコンピュータ関連の「COMPUTEX TAIPEI」はよく知られているが、このTAITRONICSも今回で38回を数えるという歴史ある見本市だ。主催は台湾貿易センター(TAITRA)と台湾区電機電子工業同業公会(TEEMA)、会場は2008年にオープンした、台湾最大級の国際展示施設台北世界貿易中心南港展覧館だ。
日本ではまだあまり知られていないTAITRONICSだが、台湾政府が支援し、台湾のエレクトロニクス企業が多数出展しており、台湾のエレクトロニクス業界の現状と目指す方向を知ることができる見本市といえる。今回のTAITRONICSには676社/団体が出展しており、併催された「台湾国際ブロードバンド通信見本市(Broadband Taiwan)」「台湾国際クラウド技術およびモノのインターネット見本市(Cloud & IOT Taiwan)」「BuildinG Taiwan(Taiwan International Smart City Expo)」「TiGiS(Taiwan International Green Industry Show)」と合わせて4日間に4万955人が来場した(海外からの来場者は3401人、日本からの来場者はそのうちの12.7%を占めた)。
台湾の電気・電子産業の輸出額は1137億米ドルと全輸出額の約4割を占める重要産業とあって、台湾政府はTAITRONICSを厚くバックアップしている。オープニングイベントには呉敦義台湾副総統も出席したほか、経済部副大臣の卓士昭氏が語った「台湾経済は欧米の景気低迷の影響を大きく受けているが、スマートシティやグリーンビルディング、クラウドコンピューティングなどの分野を今後発展させ、世界のサプライチェーンの中で今後も台湾が重要な役割を果たしていきたい」というあいさつからもその力の入れようがうかがい知れる。
日本企業へのOEM/ODM実績も多い台湾企業たち
TAITRONICSを取材して感じたのは、台湾企業の“したたかさ”だ。
日本企業とのOEM/ODMなどを通じて培ったという技術水準の高さもさることながら、ある製品分野で強い世界ブランドと競合したとき、技術的に対抗する高性能製品はもちろん出してくる。だがそれだけではなく、勝負どころとして機能を絞った中位クラスの製品を高品質・廉価で提供してシェアを取りにいくのだ。このように、ユーザーニーズを見た上で自社に有利なかたちにするしたたかさが台湾企業の強さだろう。ここからはそうした台湾企業ブースを紹介する。
iDRCは1986年設立の、AC/DC電源やパワーアナライザが主力製品のメーカーだ。中国本土に3つの生産拠点を持ち、日本メーカーにもODMで製品を供給しているという。プログラマブル電源やパワーアナライザ全製品には3つのRISC CPUを載せており、コストは上がるが優れた安定性を持たせたとしている。今回の出展製品の目玉としてラックマウントタイプのプログラマブルDC電源「DSP-HD/HRシリーズ」を展示していた。1Uハーフサイズから2Uの19インチフルサイズまで104タイプあり、6〜600V/1〜400Aまで対応する。全タイプLXI 1.4認証を得ているという。
TENMARSは電力計やマルチメータから、温度計、照度計、騒音計、風向風力計など多岐にわたる測定器を手掛けるメーカーだ。主力は電気関係の測定器だが、10年ほど前からは環境関連測定器の需要が増えており、電磁波測定器やCO2濃度計なども手掛けている。東京電力・福島第一原発の事故後は、放射線モニターの需要が高まったという。
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