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転換期を迎えるIntel、ファウンドリ事業注力も選択肢の1つ?ビジネスニュース オピニオン(1/2 ページ)

PC市場の低迷や現CEOの退任発表など、今まさに転換期を迎えているIntel。急速に伸びているスマートフォン/タブレット市場への参入で後れを取ったこの巨大な半導体企業が、これからもトップであり続けるためにはどうすればよいのか。

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 Intelは今、同社の創業者の1人で元CEO(最高経営責任者)であるAndy Grove氏の有名な言葉でいうところの「転換点」に立っている。同社は次の局面に向け、「ありたい姿」を考え直すべき時を迎えている。

 選択肢の1つとして挙げられるのが、戦略の転換だ。Intelは長年、マイクロプロセッサの設計技術と製造能力を併せ持つ最大手の半導体メーカーとして、業界をリードしてきた。しかし、軸足を移して新たな方向に進むべき時が来ているのかもしれない。同社は、大きな成功を収めた製品を自社の製造工場で生産しているのだから、優秀なファウンドリになり得る可能性も大いに持っているのだ。

 市場は、Intelが優位を誇るデスクトップPCからタブレット端末やスマートフォンに移行している。だがIntelは、タブレット端末/スマートフォン市場にはほとんど参入できていない。同社はこの現実を直視すべきだ。ただし、「ムーアの法則」が失速してきているは言え、世界最大手の半導体企業であるIntelが、半導体市場において重要な存在であることに変わりはない。

 Intelは半導体技術においては、依然としてトップ企業である。高誘電率膜/金属ゲート(HKMG:High-k/Metal Gate)技術やFinFET(立体構造トランジスタ)プロセス技術を業界に先駆けて初めて導入した企業であり、最先端技術を適用したチップを量産できるファブを世界中に持っている。次世代プロセス技術のカギとなるEUV(極端紫外線)リソグラフィ技術も、間違いなく世界で初めて採用するとみられている。


IntelのCPU「Ivy Bridge」の断面画像。3次元構造のトランジスタ素子が確認できる。出典:UBM TechInsights

 筆者は、「Intelがプロセッサ事業から撤退すべきだ」と言っているのではない。同社は、x86プロセッサで揺るぎない立場を築いた。さらに、巻き返しを図るべく、ゲーム向けSoC(System on Chip)で、利益を期待できる着実な事業展開を進めている。同社は、重心を前足から後ろ足に移すように、事業バランスを再調整しているにすぎない。

 このように考えているのは筆者だけではない。マイクロプロセッサや半導体技術、組み込みシステムに特化した技術コンサルティング会社であるSilicon Insiderの創立者であり、主席アナリストも務めるJim Turley氏は、「PC市場の減速とともに、Intelのx86プロセッサは非常に緩やかにではあるが失速しつつある。Intelは転換期を迎えている」と語っている。「Intelは、同社に福音をもたらすような製品が必要だ。つまり、同社は、PC市場の回復を望むのではなく、次世代製品に対応できる技術力を持っていることをアピールできるような製品を開発すべきなのである」(Turley氏)。

 Intelは、既に戦略の転換を始めているのかもしれない。同社はここ数年間、主にFPGAを手掛けるいくつかの小規模企業にもチップの製造サービス(ファウンドリサービス)を提供している(参考記事その1参考記事その2)。

 Turley氏は、「Intelにとって、こうした事業は補助輪のような役割を担っている。数年間の“ならし運転”を行ってから、より大口の顧客へファウンドリサービスを提供し始めたいと考えているのだろう」との見解を示した。

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