中国は“Apple神話”を打ち破る市場なのか:ビジネスニュース オピニオン(1/2 ページ)
Appleの「iPhone 5」は、中国において驚異的なセールスを記録している。Appleが、iPhoneのシェアをさらに拡大するためには、中国最大の通信事業者であるChina Mobileとの提携が不可欠だ。だが、提携を望むAppleとは対照的に、China Mobile側の反応はいまひとつと言われている。斬新な製品とブランド力を武器に、スマートフォン市場を突き進んできたApple。しかし、TD-SCDMAという独自の規格が幅をきかせている中国の携帯電話機市場は、Appleの“神話”を打ち破るものとなるかもしれない。
Appleは2012年12月16日、中国での「iPhone 5」の販売台数が、発売後3日間で200万台に達したと発表した。新聞各紙は「iPhone 5、中国で記録的な売り上げ」という見出しで、中国のユーザーがこれほどまでにiPhone 5を待ち望んでいたことに対する衝撃を伝えた。
こうした報道からは、Appleに関する関心の高さが伺える。それと同時に、これら報道の多くは、1つの方向性を示している。Steve Jobs氏亡き後も、Appleは衰えることなく、その神話は続いているということだ。果たして、それは本当だろうか?
Appleが製品発売後3日間の売り上げを発表したのは、今回が初めてであり、これは注目すべき事だ。AppleのCEO(最高経営責任者)であるTim Cook氏は、発表資料の中で「iPhone 5の中国での売り上げは、発売直後の週末販売台数としては、過去最高を記録した」と述べている。
Appleの株価は、過去3カ月で25%以上下がっている。また、iPhone 5が発売されたにもかかわらず、中国のAppleストアの客足がまばらだったことが重なり、同社に対するネガティブな報道が出始めていた。このような事態を受け、Cook氏の発言が求められていた。
こうした状況だったにもかかわらず、ふたを開けてみれば、iPhone 5は発売後3日間で200万台売れていたのだ。
Appleと中国との関係について、いくつかの点を検証してみよう。
1. Appleストアの客足:中国にはAppleストアが7店舗あるが、これらの店舗の客足だけでiPhoneの人気を判断してはいけない
Appleは、iPhoneの転売を避けるために、抽選式の事前予約制を採用した。つまり、中国では予約なしにiPhoneを購入できなくなってしまったため、Appleが新製品を発売するときの象徴にもなっている長蛇の列ができなかっただけのことだ。
2. iPhoneは、中国の通信事業者から多額の助成金を受けているため、販売台数は、通信事業者の加入契約者数と密接に関連している
Shanghai Daily(上海日報)紙は2012年12月15日の記事で、「China TelecomはiPhone 5発売初日に1万台を販売する見込みで、China Unicomは発売日の正午までに5000台を売り上げた」と報じた。ただし、この記事には、これらの販売台数が相対的にみて多いのか少ないのかを判断するための、比較対象となる数字が見当たらない。そのため、iPhone 5の発売初日の販売台数が、これまでに発売されたiPhone各機種と比べてどれほど多かったのかは分からない。
3. 「中国のユーザにとってiPhoneは高すぎる」という見解は誤解を招いている
助成金がなければ、iPhoneは確かに高い(846米ドル〜)。しかし、中国では通信事業者との加入者契約を結べば、iPhone 5はわずか96米ドルで購入できる。
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