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60GHz帯通信の勢力図、Wi-Fi AllianceとWiGigの合併でどう変わる?無線通信技術(1/3 ページ)

Wireless Gigabit Alliance(WiGig)は、60GHz帯を利用する無線通信の規格策定に取り組んできた。Silicon Imageも、60GHz帯の無線通信で独自の規格を手掛けている。Wi-Fi AllianceとWiGigは2013年1月に、合併することを発表したが、これによって60GHz帯の無線通信規格の“勢力図”に変化はあるのだろうか。

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 有線/無線ホームネットワーキング技術や標準規格に関する論議が勢いを増す中、米国ネバダ州ラスベガスで開催された「2013 International CES」(2013年1月8〜11日)では、1つの無線技術「Miracast」が注目を集めた。

 Miracastは、Wi-Fi Allianceが策定している標準規格で、アクセスポイントやルーターを介さずに機器同士で直接データをやり取りできる。ユーザーがスマートフォンやタブレット端末などの携帯型機器で視聴しているコンテンツを無線で大画面テレビに転送できるというアイデアは、多くのCES参加者の興味を引き付けた。

 Miracastが注目を集める一方で、Miracast対UltraGigの論争も巻き起こりつつある。UltraGigとは、Silicon Imageが独自に開発している、60GHz帯を利用する無線技術だ(関連記事:スマホ内蔵向けの製品化は「業界初」、HD映像の無線送信LSIを米社が投入)。同技術は、もともとはSiBEAMが開発したもので、SiBEAMは「WirelessHD」と呼んでいた。Silicon Imageは2011年にSiBEAMを買収したが、それ以降、Silicon Imageは、WirelessHDをUltraGigと呼んでいる。

 CESで行われたMiracastとUltraGigのデモンストレーションは、リビングルームの大型テレビとスマートフォンをピアツーピアで無線接続するというものだった。

NVIDIAによる、Miracastのデモ

 CESでは、MediaTekやNVIDIA、Broadcomといった多くの半導体メーカーがMiracast対応のチップを出展していた。

 Silicon Imageでワイヤレス部門のバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるTim Vehling氏は、「デモによって、60GHz帯を利用するUltraGigの長所をよく分かってもらえたと思う」と述べており、CESでの手応えを感じているようだ。「特に、UltraGigは干渉を受けないことを示せたのは、デモの成果の1つだ」(Vehling氏)。同氏によると、「市場では、Miracastが、多くのWi-Fi対応機器による干渉を受けることが問題になっている」という。同氏は、「CESでは、Miracastのデモを展示フロアから離れた場所で行っていたメーカーもあった。中には、MHLケーブルを使っているにもかかわらず、あたかも無線通信を行っているように見せかけている例もあった」と指摘している。

 米国の市場調査会社であるABI Researchで無線接続/半導体部門のプラクティスディレクタを務めるPeter Cooney氏も、Vehling氏の意見に同意している。Cooney氏は、「Miracastのデモのうちいくつかは、2.4GHz/5GHz帯を利用する『IEEE 802.11n』を利用していたと思われる。そうだとすれば、UltraGigとの公正な比較が行われたとは言えない」と指摘する。いずれにせよ、「CESは非常に干渉の多い環境だった」(同氏)という。

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