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60GHz帯通信の勢力図、Wi-Fi AllianceとWiGigの合併でどう変わる?無線通信技術(3/3 ページ)

Wireless Gigabit Alliance(WiGig)は、60GHz帯を利用する無線通信の規格策定に取り組んできた。Silicon Imageも、60GHz帯の無線通信で独自の規格を手掛けている。Wi-Fi AllianceとWiGigは2013年1月に、合併することを発表したが、これによって60GHz帯の無線通信規格の“勢力図”に変化はあるのだろうか。

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 現段階では、UltraGigとMiracastの争いは、「60GHz帯を使用する無線技術と、2.4GHz/5GHz帯を使用するWi-Fi技術の争い」とも言えるだろう。

 しかし2013年1月、Wi-Fi AllianceとWireless Gigabit Alliance(WiGig)は、近く合併することを発表した(関連記事:Wi-FiとWiGigが統合を発表、60GHz帯の高速無線規格認証プログラムを年内立ち上げへ)。WiGigは、UltraGig同様、60GHz帯を利用する無線通信規格を策定している。ABI ResearchのCooney氏は、「WiGigはWi-Fiに組み込まれ、IEEE 802.11adが、60GHz帯を利用する無線規格の主流になるだろう」と述べる。IEEE 802.11adでは、非常に広い帯域幅を使って最大7Gビット/秒の伝送速度を実現する。Wi-Fi AllianceとWiGigの合併は、60GHzの無線通信技術と、2.4GHz/5GHzのWi-Fi技術の境目をあいまいなものにするだろう。

 Cooney氏は、「Silicon ImageはWiGigのメンバーだ。Wi-Fi AllianceとWiGigが合併した暁には、UltraGigがWi-Fi Allianceという後ろ盾を得るという可能性もないとは言えない。そうなれば、UltraGigの力が強くなり、60GHz帯を利用する他の無線通信規格が競合することは難しくなる」と付け加える。

 ABI Researchは、「IEEE 802.11adに対応するチップセットは、IEEE 802.11n/ac/adといったように、マルチバンド対応が主流になるのではないか」という見解を示している。

 Silicon Image以外に、60GHz帯を利用した無線通信チップセットを手掛けるメーカーに、Wilocityがある。同社は、QualcommやMarvell Technology Groupと提携し、2.4GHz帯と5GHz帯、60GHz帯を使う「Tri-Band」の無線通信モジュールを開発している。Dellは、同モジュールを搭載したUltrabookを、2012年10月に発表している。

 これが、UltraGigにどのような影響を与えるのかは不明だ。

 現時点でABI Researchは、「UltraGigが、Wi-FiともWiGigとも異なる、“独自規格”でいる時間は、そう長くはないだろう」との見解を持っている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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