ロームが愛知製鋼とMIセンサーで提携、2016年の売上高目標は50億円:ビジネスニュース 企業動向
ロームは、センサー事業で愛知製鋼と業務提携を行うと発表した。愛知製鋼は、電子コンパスなどに用いるMI(磁気インピーダンス効果)素子の製造をロームに委託する。ロームは、MI素子を用いた次世代複合センサーを開発・販売する計画だ。
ロームと愛知製鋼は2013年2月4日、センサー事業における業務提携について基本合意したと発表した。両社はそれぞれが保有する技術を融合し、開発と生産の両面で協力体制を強めていくことにより、需要が拡大するセンサー分野でさらなる事業拡大を目指す。
今回の業務提携では、愛知製鋼が独自に開発した高性能の磁気センサー「MI(磁気インピーダンス効果:Magneto-Impedance Effect)センサー」に用いるMI素子の製造をロームが受託する。これによって愛知製鋼は、MIセンサーの質的・量的な対応力を向上できる。一方ロームは、自社で展開している加速度センサーやジャイロなどにMI素子を組み込んだ新たなセンサー製品を開発、販売する。ロームは、愛知製鋼からのMI素子の受託製造事業と新製品の販売で、2016年には50億円の売上高を見込む。
ロームは、製造子会社であるローム・アポロの行橋工場(福岡県行橋市)が持つ8インチウエハーラインを、MI素子の量産ラインに改造する。愛知製鋼はロームに対して、磁気センシング技術全般に関するハードウェアとソフトウェアのサポートを行う。MI素子の量産に必要となる製造設備や技術は、愛知製鋼がノウハウを提供したり、両社で共同開発したりすることになる。
なお、愛知製鋼がMI素子を製造している岐阜工場(愛知県各務原市)は、MI素子の製造に必要となるコア素材の供給や、愛知製鋼が自社で開発する電子コンパスなどの磁気センサー製品向けのMI素子製造、試作ラインなどとして活用する予定だ。
次世代センサーの開発も共同で行う。愛知製鋼が強みとするMI素子と磁気センシング技術、ロームが得意とする半導体加工技術の融合により、高い性能を備えたセンシングデバイスの開発や、より多くのセンサーアプリケーションへの対応が可能になるという。
ロームは、スマートフォンやタブレット端末、PCなど向けに、近接スイッチや照度センサーを、2009年に傘下に収めたKionixの加速度センサー、ジャイロなどを展開している。今回の業務提携で獲得するMI素子と、加速度センサー、ジャイロなどの組み合わせによって実現できる9軸や10軸といった次世代複合センサーのコア技術の1つとしてMIセンサーに注目していたという。
一方、愛知製鋼は携帯電話機やスマートフォン向けに、MIセンサーを活用した電子コンパス事業を拡大しており、最近はMI素子の量産規模拡大が求められていた。このような両社の思惑が一致して、今回の業務提携に至った。
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