ルネサスの業績は「2012年度末で底入れ」、2013年度以降は回復軌道に乗る?:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
2012年度通期業績を下方修正したルネサス エレクトロニクス。しかし、「半導体の需要減は2013年1〜3月期で底入れし、2013年4月以降はゆるやかに回復する見込み」(同社社長の赤尾泰氏)だという。
中国市場の需要落ち込みを見通せず
2012年度第4四半期(2013年1〜3月期)には、中国市場向けの半導体需要減がさらに拡大するとして、2012年度の下期業績予想を下方修正した。半導体売上高は、前回予想(関連記事1)比490億円減の3374億円、営業損益が同470億円悪化して27億円の損失、経常損益が同440億円減の96億円の損失、当期純損益が同260億円悪化して609億円の損失と見込んでいる。
前回予想からの減収要因は大まかに分けて3つある。1つは、世界的な市況停滞がルネサスの予想よりも長引いたことだ。2つ目は、領土問題に起因する中国市場での日本メーカーの生産減による半導体需要の落ち込みを見通せなかったことだ。これら2つの要因によって、自動車向け半導体で約180億円、産業用機器・PC周辺向け半導体などで110億円の売上高が前回予想よりも減少したという。
3つ目は、大型商談案件として第4四半期も堅調な売り上げを見込んでいた、アミューズメント向けカスタム半導体の受注減である。売上高を約100億円押し下げる影響があった。この大型商談案件とは、任天堂の最新ゲーム機「Wii U」向け製品のことである。任天堂は2013年1月31日、Wii Uの2013年3月末までの販売台数見通しを、当初の550万台から400万台に引き下げている。
これらの減収要因によって、マイコンは2012年度上期比で10%台前半、A&Pは2012年度上期比で10%台半ば、SoCは2012年度上期比で10%台半ば、売上高が減少する見込み。ルネサスの半期ベースの半導体売上高は、2011年度上期(4〜9月)に5250億円を記録していたが、それから2年半経過した2013年度下期は約36%減の3374億円まで減少することになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルネサスは通期営業黒字を達成できるのか、鍵を握る「Wii U」
2012年度の中間決算で、1151億円もの純損失を計上したルネサス エレクトロニクス。同社は通期で営業黒字を達成すると予想しているが、主力顧客である自動車メーカーや電装部品メーカーの業績予想の下方修正が続くなど事業環境は厳しい。果たして、待望の通期営業黒字は達成できるのだろうか。 - ルネサスの通期業績は売上高500億円減も利益は維持、産業革新機構の出資も決定
ルネサス エレクトロニクスは、2012年度の通期連結業績予想を下方修正した。売上高は約500億円減少するものの利益面は予想を据え置いた。官民ファンドの産業革新機構、トヨタ自動車、パナソニック、キヤノンなど9社から総額1500億円の出資も決定した。 - 激動の1年だったルネサスの2012年、2013年は3社のSoC事業統合が再燃か
2012年、日本の半導体業界の話題を独占していたルネサス エレクトロニクスの業績不振と、状況打開のための経営再建策。結局、官民ファンドの産業革新機構と顧客企業8社から総額1500億円の出資を受けることで決着した。2013年は、富士通セミコンダクター、パナソニックとのSoC事業統合に向けた動きが再び活発化しそうだ。