Infineonが、300mmウエハーを用いたパワー半導体チップの生産を開始:パワー半導体
Infineonは、300mmウエハーを用いたパワーMOSFETの生産を開始すると発表した。200mmウエハーを用いる場合に比べてチップの生産量が2.5倍に増加するため、コスト的なメリットがあると同社は主張する。
Infineon Technologiesは2013年2月、300mmウエハーを使ったパワー半導体チップの生産を開始すると発表した。具体的には、パワーMOSFET「CoolMOS」シリーズで、300mmウエハーを使用したパワー半導体の出荷は「世界初」(同社)になるという。
Infineonは過去10年以上にわたり、薄型ウエハーや、上部に薄型エピタキシャル構造を持つウエハーを用いたパワー半導体の開発に取り組んできた。こうしたプロセスを300mmウエハーに転用することが、課題の1つとなっていた。
個々のチップにダイスカットされる前のウエハーの厚さは通常350μmだ。Infineonは、これを60μmや40μmまで薄くして、パワー半導体を製造している。同技術を用いたIGBTやパワーMOSFETは、自動車エンジンの制御から電源、IHクッキングヒーターに至る幅広い用途に用いられている。
Infineonによれば、300mmウエハーを用いれば、200mmウエハーを用いた場合に比べて、1枚のウエハーから製造できるチップの数が2.5倍になり、生産性の向上といったメリットが生まれる。
InfineonのCEO(最高経営責任者)であるReinhard Ploss氏は、報道発表資料の中で、「当社は非常に早い時期からこの製造技術に信頼を置き、経済的に厳しい時期においてもこの技術への投資を続けてきた。300mmウエハー対応の製造ラインの能力は、競合先の一歩先を行く真の飛躍である」と述べている。
Infineonは、オーストリア フィラッハに所有する前工程工場とマレーシア マラッカに所有する後工程工場において、300mmウエハーを使用してCoolMOSを製造し、製品として出荷できるほどの十分な性能を確認したという。今後は、ドイツ ドレスデンの前工程工場にもこの技術を移管する。同工場で、フルオートメーション化された300mmウエハー対応ラインによる量産が開始される見込みだ。ドレスデンへの技術移管はスケジュール通りに進んでおり、2013年3月には、ドレスデンの工場で製造したCoolMOSの性能に関連する確認作業が完了する見込みだという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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