特許出願件数で中国と韓国に引き離される日本、その一方で特許収入は増加:ビジネスニュース 特許/知財(1/2 ページ)
世界の主要市場における特許出願件数の国別の割合は、中国と韓国が高まる一方で日本は低下している。しかしながら、日本企業が海外から受け取る技術供与の金額は年々増加しているという。
トムソン・ロイターは2013年2月、日本企業のグローバル化について知的財産の視点で分析し、「マーケットリポート:グローバル化の先へ 日本はガラパゴスから抜け出したか」というタイトルで報告書をまとめた。同社の調査結果によると、世界の主要市場における特許出願件数の国別の割合は、中国と韓国が高まる一方で日本は低下している。しかし、日本企業が海外から受け取る技術供与の金額は年々増加しているという。
同報告書ではまず、「知的財産の観点から見たグローバル化」について分析した。全世界の特許出願件数に占める日本の割合は、1996年の65%から、2009年には24%に低下し、最近は20%程度まで落ち込んでいるとみられる。これに対して、中国および韓国の特許出願件数の割合は、1996年の9%に対して、2009年は39%と大幅に増えており、最近では50%に達していると予想されている。
中国では、特許出願の件数増加に伴って、知的財産に関わる訴訟も増えている。中国で特許に関連する民事訴訟は2011年に7800件を超えた。前年に比べて約35%も増えたが、訴訟そのものは中国企業の間で発生していることが多いという。
同社は、「かつては日本国内の特許情報を確認しておけば、おおよそ世界の技術の方向性を把握することができた。最近はグローバルで知的財産に関する情報をチェックしておかなければ、世界市場で生き残ることが難しくなってきた」と指摘する。
技術輸出で国際収支は増加
特許出願件数に占める日本の割合は低下しているものの、日本企業が海外に技術供与し、そこから得ている金額は増加している。特許使用料がその主たる要素だ。その受取額は、2009年で1社当たり約9億円となっている。この中には、日系企業が海外に設けている研究開発拠点からの受け取りも含まれているという。
一方、国籍別に半導体メーカーの生産地と消費地がどのように変化してきたかも調査している。2001〜2009年で日本企業が生産した半導体製品の消費地域は、日本市場が多く、その傾向はほとんど変わっていない。これに対して米国企業は、消費地域が米国内からアジア太平洋地域に移行した。特に、この期間でアジア太平洋地域での消費は約3倍に伸びた。日米の半導体メーカーにおけるグローバル化に取り組む意識の差がここでもみられた。
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