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恐るべきIBMの知財戦略、なぜ太陽電池に賭けるのか?知財で学ぶエレクトロニクス(5)(6/6 ページ)

米IBMは太陽電池の開発に熱心に取り組んでいる。IBMはICT企業であり、エネルギー関連のハードウェアは守備範囲外のはずだ。なぜ太陽電池に取り組んでいるのか。さらに太陽電池の開発・量産では先行する企業が多く、今からIBMが開発を進める理由が分かりにくい。今回の「知財で学ぶエレクトロニクス」では、IBMの知的財産(知財)戦略において、太陽電池がどのような位置を占めるのかを、特許出願状況の調査と併せて解説する。

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 図3はCZTS太陽電池に関わる論文件数の推移を示したものである。2006年までは年に2件程度であったが、2007年の5件から急激な件数増加が始まり、2009年には30件となり、2010年も33件となっており、今後はさらに増加すると考えられる。

 技術開発競争における、多くの企業や大学、研究機関の参入は技術開発を一気に加速する効果があることをこれまでに体験している。したがって、CZTS太陽電池においても、早期実用化が促されると考えられる。



図3 CZTS太陽電池の公表論文数の推移 出典:図2と同じ

特許の分析仕様・条件

 本編では、以下に示した分析条件で各社の動向を考察しました。特許データベースの使い方が分かれば、皆さん自ら、下記の条件検索パラメータを活用して確認できます。


データベース

項目 内容
外国特許 CPA Global Discover(日本技術貿易のご好意で試用しています)
日本特許 CKSWeb(中央光学出版のご好意で試用しています)

分析条件

項目 内容
外国および日本特許 長岡高専の片桐裕則教授特許の検索
 発明者:片桐裕則

豊田中央研究所のCZTS太陽電池特許の検索
 出願人*全文:豊田中央研究所*CZTS

東京応化工業のCIGS太陽電池およびCZTS太陽電池特許の検索
 出願人*全文:東京応化工業*CIGS
 出願人*全文:東京応化工業*CZTS

IBMのCZTS太陽電池特許の検索
 出願人*全文:インターナショナル ビジネスマシーンズ*CZTS
(Assignee:International Business Machines)*((Title:CZTS+Abstract:CZTS+Claims:CZTS)+(Claims:Cu*Claims:Zn*Claims:Sn)*( Claims:S+ Claims:Se))*(Description:Solar Cell+Description:Photovoltaic cell))

DuPontのCZTS太陽電池特許
 出願人*全文:デュポン*CZTS
(Assignee:Du Pont)*(IPC:C01G19+Title:CZTS+Abstract:CZTS+Claims:CZTS)
  なお、C01G19:無機化学の錫化合物


筆者紹介

菅田正夫(すがた まさお) 知財コンサルタント&アナリスト (元)キヤノン株式会社

メールアドレス:sugata.masao[at]tbz.t-com.ne.jp

1949年、神奈川県生まれ。1976年東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修了(工学修士)。

1976年キヤノン株式会社中央研究所入社。上流系技術開発(a-Si系薄膜、a-Si-TFT-LCD、薄膜材料〔例:インクジェット用〕など)に従事後、技術企画部門(海外の技術開発動向調査など)をへて、知的財産法務本部特許・技術動向分析室室長(部長職)など、技術開発戦略部門を歴任。技術開発成果については、国際学会/論文/特許出願〔日本、米国、欧州各国〕で公表。企業研究会セミナー、東京工業大学/大学院/社会人教育セミナー、東京理科大学大学院などにて講師を担当。2009年キヤノン株式会社を定年退職。

知的財産権のリサーチ・コンサルティングやセミナー業務に従事する傍ら、「特許情報までも活用した企業活動の調査・分析」に取り組む。

本連載に関連する寄稿:

2005年『BRI会報 正月号 視点』

2010年「企業活動における知財マネージメントの重要性−クローズドとオープンの観点から−」『赤門マネジメント・レビュー』9(6) 405-435


おことわり

本稿の著作権は筆者に帰属いたします。引用・転載を希望される場合は編集部までお問い合わせください。



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