【ESEC2013】PCI Expressを無線化!? NECが「ExpEther」のデモを公開:高速シリアルインタフェース技術
NECは、PCI Express(以下、PCIe)バスを一般的なEthernet上に拡張する技術「ExpEther」の将来的な応用例として、無線LANを使った無線伝送デモを公開した。無線を介して遠隔のデバイスを、PC/サーバーなどの内部のデバイス同様に利用できる技術で、ワイヤレスセンサーネットワークなどでの応用を見込む。
NECは「第16回 組込みシステム開発技術展(ESEC2013)」(2013年5月8〜10日、東京ビッグサイト)で、PCI Express(以下、PCIe)バスを一般的なEthernet上に拡張する技術「ExpEther」の将来的な応用例として、無線LANを使った無線伝送デモを公開した。「ワイヤレスセンサーネットワークに応用すれば、センサーノード側の制御システムを大幅に簡素化できる」(同社)とする。
ExpEtherは、NECが開発したPCIeバスを一般的なEthernet上に拡張する技術。言い換えれば、PCIeのインタフェースを持つデバイスとパソコン・サーバなどをEthernet経由で接続できる。Ethernetを介すものの、PCなどホスト側からは、ホスト内部で接続している通常のPCIeバス上のデバイスとして認識される。伝送距離100mの1000BASE-TのEthernetを使えば、100m離れた場所のPCIeデバイスをPC内部のデバイスと同様に利用できる。
ExpEtherを利用するには、PCなどホスト側は、PCIeスロットにExpEtherエンジンLSIを搭載し、Ethernetケーブルの口を持つ「ExpEtherボード」を差し込むことで対応可能。クライアント側も同ボードを備えるか、ExpEtherエンジンLSIを組み込むなどすることで利用できる。NECでは「高速低遅延で、通常のPCIeと何ら変わりない。ホスト側に実装スペースがないなどPCIeのデバイスを搭載できない場合もあるが、自由に拡張できる利点もある。高価なGPUのユニットを、複数のホストで共有するといったこともできる」とする。
NECでは、ExpEtherボードのほか、容易にクライアント側を構成できるように、ExpEtherエンジンとともに、DVI/HDMI、USB3.0、ヘッドフォン/マイク端子を備え、さまざまな機器をExpEtherに接続できる端末「ExpEtherクライアント」を製品化し販売している。「採用事例としては、それまで教室で学生が使用していた600台のPCにExpEtherボードを取り付けてサーバー室に集約、集中管理し、学生は教室でExpEtherクライアントを介してサーバー室のPCを遠隔利用するといったものがある」という。
今回のESECでは、ExpEtherボードとExpEtherクライアントを使ったロボットアームの遠隔制御デモとともに、参考展示として、ExpEtherボードの間に、2台の市販の無線LANルータ(IEEE802.11ac対応)を挟んで、無線LANでPCIeを飛ばすデモを公開した。「有線ケーブルに比べ、伝送速度、安定性は劣るのは事実。しかし、速い転送速度が必要ないワイヤレスセンサーネットワークなどに応用すれば、センサーノード側のハードウェア構成を大幅に簡素にできるほか、ネットワーク用ソフトも不要になる。将来的には、ワイヤレスセンサーネットワークは、ExpEtherの有力な応用用途の1つ」とし、ExpEtherの無線LAN対応に向けた開発を進めていく。
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