「トップシェア」「強固なポジション」を前面に押し出す、TIのアナログ事業戦略:ビジネスニュース 企業動向
Texas Instrumentsは、アナログ事業戦略に関する会見を開催し、「トップシェア」とする世界アナログ半導体市場での優位性を生かして、さらなる成長を果たそうとする方針を示した。
Texas Instruments(以下、TI)は2013年5月22日、都内でアナログ事業戦略に関する記者会見を開催した。同社アナログ事業統括のシニアバイスプレジデントを務めるBrian T.Crutcher氏は「世界アナログ市場でトップシェアを誇り、強固なポジションを獲得している。一方で、まだシェア拡大、成長の余地は多く残されている」と述べ、市場優位性を十分に発揮しながら、さらに市場での地位を高めていく方針を示した。
Crutcher氏は、今後の事業戦略の前提として世界アナログ半導体市場におけるTIのポジションについて強調する。「世界のアナログ市場は、特殊性があり、200社以上のアナログ半導体メーカーが存在する。市場は多くのアナログ半導体メーカーによって細切れに分断されている。その中でTIは17%のシェアを有し、強固なポジションを築いている。これは、顧客と共に成長する可能性が最もあるということだ」とした。その上でCrutcher氏は、「われわれには、まだ市場の83%分のシェアが狙えるわけであり、成長の余地も大きい」と語る。
「強固なポジション」は、2011年9月のNational Semiconductor(以下、NS)の買収でより高まった市場シェアだけでなく、さまざまな面で築けているとする。1つは、製品ラインアップ。「当社は、データコンバータ/アンプ、インタフェース/クロック、電源ICとほとんど全てのアナログ半導体製品のポートフォリオをカバーしている」という。具体的には現在、TIが展開するアナログ半導体製品数は7万種以上とし、「顧客に対し、ベストな製品を提供できるメーカーだ」という。
次に、この製品ポートフォリオを世界に展開する販売・サポート体制に関してもCrutcher氏は、「より多くの顧客に訪問しているという点で、優位性がある」とする。営業拠点網、アプリケーションエンジニアの充実ぶりに加え、開発支援ツール類でも先行している点を強調する。
その例として、電源回路設計用途向けを中心に展開する無償オンラインツール「WEBENCH」を挙げる。WEBENCHは、旧NSが開発したツールで、簡単な仕様要件を入力することで、電源回路などを短時間に自動生成する設計支援ツールである。NSの買収後、TIの主要製品も同ツールに対応させたほか、機能強化も随時、行ってきた結果、「この1年間の新規WEBENCH利用登録者数は2万7000人以上に達した」とし、市場に受け入れられているという。さらに「2012年は日本での電源設計向けWEBENCHの使用率が前年比60%増に伸びるなど、他のどの地域よりも利用が伸びた」とした。
そして、もう1つのTIの優位性として、技術力と製造能力の高さも挙げた。「75種類以上もの独自製造プロセス技術があり、各プロダクト、各ソリューションに最適なプロセスを選択できる下地がある。生産能力としても過去4年間で4つの製造拠点を増やした他、NSの買収に伴う製造拠点の強化もあった。現在、アナログ事業の年間売り上げ規模は約70億米ドルだが、生産能力は、その倍の年間約140億米ドル分の製品を生産できるだけのキャパシティがある。急な需要増などにも十分対応できる供給継続性の高い体制も構築できている」とした。
今後のシェア拡大、成長に向けて、Crutcher氏は、「充実した『製品ポートフォリオ』『サポート体制』『技術力/製造能力』という3点を生かしていく。TIのアナログ製品を使うことで、より良い製品を、より速く、より多く開発できるようになると提案していきたい」とした。
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