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「英語に愛されているか否か」を客観的に検証する「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論 ―番外編―

自分は英語に愛されていない――。人は、何をもってそう判断しているのでしょうか。自分ではそう思っていても、他人はそのように思っていない可能性は否定できません。今回は、「本当に英語に愛されていないのか」を客観的に探る、ごく簡単な方法をお伝えしようと思います。

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女性は自分の容姿に対する評価が低い!?

 女性は自分の容姿に対する評価が低いそうです。

 以下は、上記の仮説を検証する実験の内容です。

(Step.1)カーテンで仕切って顔を見えなくした状態で、女性に自分自身の容姿を説明してもらいモンタージュ絵(絵A)を作る
(Step.2)その後、これまでその女性を見たことがない第三者にその女性を見てもらい、証言を元にモンタージュ絵(絵B)を作る

 この結果、ほとんどの女性が、自分自身の容姿についての自己評価が低かったのだそうです。つまり、「絵B」は常に「絵A」よりも美しい人物として描かれていたのだそうです。

 実はこれと同じようなことが、この連載に関しても言えます。

 私は、この連載を通じて、一度も「私は、英語に愛されている」と主張する日本人に会ったことがないのです。

 もちろん、日本では公衆の面前において、「私は英語に愛されている」と公言をすることは、命の危険に関わるような暴挙であることは十分に分かっています。しかし、匿名性の高いTwitterなどには、そのような内容が1つくらい記載されていてもよさそうなものです。

 私から見て、「ああ、あの人は『英語に愛されてる』んだな。いいなー」と思うような人が、本人に伺ってみると、全く逆の自己評価をされている、などということも多いです。

“英語に愛されない”を計る物差し

 先日、10年ぶりに家族で海外旅行をしてきたのですが、タクシーの運ちゃんと英語で会話する私を見ていた娘(長女)が、私を「うそつき」呼ばわりするようになりました。

 「英語に愛されているクセに! Twitterで皆に言いふらしてやる!!」

 タクシーの運ちゃんに行き先くらい言えないようでは、海外出張なんかできないのですが、娘のレベルからすれば、私ですら「英語に愛されている」ように見えるらしいのです。

 それ以来、私は「英語に愛されない」ということの客観性の指標、つまり「物差し」って何だろうと、ずっと考え続けてきました。

「英語に愛されているか否か」を検証する方法

 この度、この「英語に愛されているか否か」を検証する方法を考案しました。

 この検証方法は、「自分を低く見積る人は、どの分野においても自分を低く見積る傾向にあるだろう」という仮説に基づきます。

 「英語に愛されている」という自己評価の他に、「自分はかっこいい/美人である」「自分の性格はとても良い」「自分は人に好かれている」「自分は優れた能力を持っている」などを使って、自分の「思い上がり度」を、下記の表でチェックするわけです。「1」がYes、「0」がNoとなります。

相対的自己評価事項 自己採点 他者採点
(1)自分はかっこいい/美人である 1 or 0 1 or 0
(2)自分の性格はとても良い 1 or 0 1 or 0
(3)自分は人に好かれている 1 or 0 1 or 0
(4)自分は他人にない優れた能力を持っている 1 or 0 1 or 0
合計 A__点 B__点

 評価として、A−Bがマイナスになる人は、自分では「英語に愛されていない」と思っていても、実は「英語に愛されていた」という可能性があり、プラスになる人は、その逆の評価になる(可能性が高い)ということです。

 ちょっと試してみてはいかがでしょうか。

 え? 私ですか?

 私の場合、「他者採点」を家族全員からしてもらいましたけど、その結果、

■私は自分を「英語に愛されていない」と思っていて、かつ、
■現実にも「英語に愛されていない」

ことが客観的に証明されました。

 それが何か?


本連載は、毎月1回公開予定です。アイティメディアIDの登録会員の皆さまは、下記のリンクから、公開時にメールでお知らせする「連載アラート」に登録できます。


Profile

江端智一(えばた ともいち) @Tomoichi_Ebata

 日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。

 意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。

 私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「江端さんのホームページ」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。



本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。



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