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結局はAscend P6の売名が狙い? HuaweiのNokia買収報道ビジネスニュース オピニオン

2013年6月18日に、HuaweiがNokiaの買収を検討していると報道された。Huawei側はこれを否定したが、Huaweiの名が話題になることで、同社が発表したばかりのスマートフォン「Ascend P6」の宣伝になる、と考えたのかもしれない。

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 中国の最大手携帯電話機メーカーであるHuaweiが、経営難にあえぐNokiaの買収を検討しているとの報道が流れた。これを受け、一時、Nokiaの株価は急上昇した。しかしHuaweiは、Nokia買収に関するうわさを否定している。

 Financial Timesが2013年6月18日に報じたところによれば、Huaweiのコンシューマビジネスグループ部門でチェアマンを務めるRichard Yu氏は、Nokiaの買収に前向きであるとの考えを示した。ただし同氏は、「買収について検討はしているが、Nokiaの意欲次第だ」と述べたという。

 一方、Bloombergが2013年6月20日に報じた内容によると、Huaweiの広報担当者は、「Nokiaを買収する計画は全くない」とコメントしている。「Huaweiはこれまでに、小規模の企業を数社買収しているが、Nokiaのような大企業を買収した経験はない」(同担当者)。

 興味深いのは、2013年6月19日付のWall Street Journalで、「Microsoftも、Nokiaの事業部門の一部を買収すべく交渉を進めている最中だ」と報じられていることだ。しかし、この交渉は決裂したとみられている。

 また、米国の市場調査会社であるABI Researchでシニアプラクティスディレクタを務めるNick Spencer氏は、2013年6月19日に投稿したブログで、HuaweiがNokiaを買収するとのうわさに対し、否定的な考えを示した。同氏はとりわけ、「Nokiaブランドは既に過去のものだ」と強調している。

 Spencer氏は、「NokiaのIP(Intellectua Property)ポートフォリオは非常に価値があるため、Huaweiにとっては多大なメリットがあるだろう。だからと言って、HuaweiがNokiaを買収するとは考えられない。Huaweiは買収経験が少ないので、なおさらNokiaを買収する可能性は低い」と付け加えている。

 またSpencer氏は、「買収について検討はしているが、Nokiaの意欲次第だ」というYu氏のコメントについて、「Yu氏は単に、Huaweiが話題に上れば、Huaweiの新型スマートフォン『Ascend P6』の宣伝になると思ったではないだろうか。あるいは、Yu氏は企業秘密を漏らしてしまい、広報部門の頭を悩ませているかもしれない」と述べる。

 筆者としては、Spencer氏の見解に同意する。HuaweiがNokiaの買収に関心を持っているようにはとても思えない。おそらく、経営幹部となれ合いになっているジャーナリストが、幹部のコメントを誇張して伝えたのではないか。もしくは、Yu氏が「Huaweiは、シェアを拡大するためにはあらゆる手段を検討する」ということを主張したかっただけかもしれない。

 いずれにせよ、買収をめぐる報道によって、低迷が続くNokiaの状態が好転するとは思えない。ただ、少なくとも報道の影響で6月18日の1日だけは、Nokiaの株価が上昇したのは事実である。


Huaweiの最新スマートフォン「Ascend P6」

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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