“AFの常識を覆す革新的技術”――キヤノン「デュアルピクセルCMOS AF」:組み込み技術(2/2 ページ)
キヤノンが発表したデジタル一眼レフカメラ「EOS 70D」には、新開発のオートフォーカス技術「デュアルピクセルCMOS AF」が搭載されている。「迷いのないAFを実現」するというその画期的な技術とは?
迷いのないAFを実現――デュアルピクセルCMOS AF
さて今回EOS 70Dに搭載されたデュアルピクセルCMOS AFは、この撮像面位相差AF技術をさらに進化させたものだ。
新構造のCMOSセンサーは、1つ1つの画素(画像信号を出力できる構造の最小単位)が、独立した2つのフォトダイオード(光を電気信号に変換する素子)で構成され、全ての有効画素が撮像と位相差AFの両方に利用できる信号出力機能を兼ね備えている。
AF時にはそれぞれのフォトダイオードが独立して信号を検出する。この2種類の信号から距離情報を算出し、位相差AFを行う。一方、撮像時には2つのフォトダイオードが合わせて1つの画素として働き、従来の撮像素子と同様に画素信号を出力する、という仕組みだ。
この新技術は、ライブビュー撮影時に威力を発揮する。広い測距エリアでファインダー撮影時と同様に最終合焦まで位相差AFが可能なため、従来の撮像面位相差AFに比べて「より短い合焦時間」「動く被写体に対する優れた追従性」「動画撮影時の滑らかなAF動作」を実現するという。
「ハイブリッドCMOS AF IIを採用しているEOS Kiss X7と比べた場合、合焦速度は約30%高速化されている。“迷いのないAF”を実現するのがデュアルピクセルCMOS AFの特徴。高い追従性と動画に適した滑らかなピント合わせで、動画特有のスムーズにピントの合う映像が“カメラ任せ”で撮影できる」(眞榮田氏)。
今回の新技術は、EOS 70Dというミドルクラスのエントリーモデルへの搭載で「デジタル一眼レフカメラでのスムーズな動画撮影」を提案した。ただ、ファインダー撮影と同じ感覚でライブビュー撮影が行えるというデュアルピクセルCMOS AFは、光学式ファインダーを持たず、コンパクトさとAF速度の両立が求められるミラーレス機でこそそのメリットが最大限に享受される。その意味で、同社のミラーレス機「EOS M」の次期モデルでの搭載が期待されるところだ。
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