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組み込みSSDの最新動向 〜高速な新規格から耐環境性の強化まで〜メモリ/ストレージ技術(2/2 ページ)

高温、高湿度でも安定した動作が期待できるフラッシュメモリストレージは、これまでも組み込み機器や、産業用機器に広く採用されている。そのフラッシュストレージの最新動向を、台湾・台北市で開催されたIT見本市「COMPUTEX TAIPEI 2013」(2013年6月4〜8日)で追った。

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 「COMPUTEX TAIPEI 2013」では、主要SSDベンダー各社がM.2に対応したSSDを公開。中国のフラッシュストレージ専業ベンダー「BIWIN」は、M.2 Type 2242(22×42mm)の「G6200」、Type 2260(22×60mm)の「G6201」、Type 2280(22×80mm)の「G5301」の3種類を展示した。インタフェースにはSATAを採用し、最上位モデルのG5301はSATA 3.0に対応する。同社関係者は将来的にはPCI Express x4接続に対応した製品もラインアップに加える意向を示す。


BIWINは、M.2 SSDを3製品公開。インタフェースにはSATAを採用し、最上位モデルの「G5301」(右)はSATA 3.0に対応する(クリックで拡大)

台湾Kingmax TechnologyのM.2 Type 2260(上)とType 2280モジュール(クリックで拡大)

台湾MemoRightのM.2モジュール「N4-660」は、SATA 3.0対応している(クリックで拡大)

台湾ADATA TechnologyのPCI Express x4対応M.2モジュール「XNP280E」。読み出し、書き込みとも最大1.8Gバイト/秒を実現。データセンター向けのキャッシュ用途をターゲットとする(クリックで拡大)

MO-276準拠のシングルチップSSD

 一方、より小型かつ高速なSSDデバイス向けにはJEDECのMO-276に準拠したシングルチップSSDを採用した製品も増えている。台湾Apercer Technologyは、同規格に準拠したμSDC(Micro SATA Disk Chip)を開発し、より小型なフラッシュストレージを実現。SSDコントローラとNANDフラッシュをシングルチップに統合したSoCは、チップ内部でマルチチャネル接続することで、読み出し最大510Mバイト/秒、書き込み最大195Mバイト/秒のパフォーマンスを発揮している。

 台湾Innodiskは、MO-276準拠のシングルチップSSD「nano SSD」を開発した。SATA 3.0プラットフォームでは、読み出し最大462Mバイト/秒、書き込み最大167Mバイト/秒を実現できると説明する。


台湾Apecer TechnologyのMO-276準拠シングルチップSSDを採用した「μSDC」(Micro SATA Disk Chip)。SATA DOMよりもさらにコンパクトなストレージモジュールを実現できる(クリックで拡大)

台湾InnodiskのMO-276準拠シングルチップSSD「nano SSD」(クリックで拡大)

停電や瞬断に強いSSD

 この他、2.5インチSSDにおいては、停電や瞬断といった電力トラブルに対処できるよう、基板上にコンデンサを搭載することで、0.5秒〜数秒間は電力供給がなくても動作できるようにすることで、SSDのキャッシュ上のデータをNANDフラッシュに確実に書き込み、データを安全に保護できる機能を備えた製品が増えている。

 BIWINは、独自の電源保護技術を採用し、基板上にタンタルコンデンサを搭載した「C8386」で、瞬断を繰り返すデモを披露。Apecer Technologyも、大容量のタンタルコンデンサやスーパーキャップを搭載した電源保護回路付きのSSDをラインアップに加えている。また、同社はSSDの動作状況をタブレットやスマホで確認することができ、SSDにエラーが生じたときは通知を受けれる「SSDWidget」も発表した。同ウィジェットは、SMARTによるSSDの動作状況を、リアルタイムでクラウドにアップロードすることで、タブレットやスマホでSSDの稼働状況を監視。SSDにエラーが生じたシステムを特定し、故障前にストレージを交換できるようにする。


BIWINは同社の産業用SSD「C8386」で、瞬断を繰り返すライブデモを披露し、同社独自の電源保護回路の性能をアピール(クリックで拡大)
Apacer Technologyのタンタルコンデンサ搭載産業用SSD「SFD 25AT」(左)と、スーパーキャップ搭載「SFD 25AS」(クリックで拡大)
Apacer TechnologyのSSDモニタリングウィジェット「SSD Widget」。SSDの状況をモニタリングして、逐次クラウドにアップロードしていくことで、離れたところでも、スマホやタブレットでSSDの稼働状況をチェックできるようにする

耐性に優れたSSDも登場

 屋外で運用されることも多いデジタルサイネージ市場をターゲットに、防水性や温度、湿度変化に強いSSDも増えている。SSDベンダーの中には、ICのパッケージングを工夫したり、特殊なコーティングを施したりすることで、防水性を備えたSSDを展開するベンダーも増えている。

 台湾Akust Technologyは、ハーフスリムSSDやmSATA向けのケースを、デジタルサイネージ機器やアミューズメント機器向けのコンテンツ配布に利用している企業向けに、EMIシールドを施したプラスチックケースや、アルミ製ケースなど、幅広いラインアップを展開している。温度や湿度環境が厳しい条件でも安定した動作を実現できるようにする他、SSD交換作業時の静電気による故障を抑制することもできるという。このように、産業用機器や組み込み機器でSSDの採用が増えるにつれ、より過酷な条件でも動作するSSDを実現すべく、周辺パーツにも新しい動きが出始めている。


Apacer TechnologyのSSDの防水性デモ。SSD基板を2.5インチSSDモールディングに封止したり、基板上に特殊なコーティングを施すことで、防水性を実現(クリックで拡大)

台湾Akust TechnologyのハーフスリムSSD用プラスチックケース(左奥)と、1.8インチフォームファクタを採用したハーフスリム用アルミケース(右奥)、mSATA用プラスチックケース(手前)。デジタルサイネージ機器やアミューズメント機器向けのコンテンツ配布用に開発されたという(クリックで拡大)

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