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富士通研、書籍を裁断せずに歪みなく電子化する技術センシング技術

富士通研究所などは、厚みのある冊子を撮影するだけで、歪みのないフラットな書面として電子化できる画像補正技術を開発したと発表した。書籍を裁断することなく、書籍の各ページを歪みのない読みやすい書面データとして電子化できるようになる。

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 富士通研究所と中国法人の富士通研究開発中心は2013年7月10日、厚みのある冊子を撮影するだけで、歪みのないフラットな書面として電子化できる画像補正技術を開発したと発表した。書籍を裁断することなく、自然に冊子を開いた状態を1台のカメラで撮影するだけで、書籍の各ページを歪みのない読みやすい書面データとして電子化できるようになる。

 これまで、書籍など厚みのある冊子を電子化する場合、冊子を裁断し、1ページごとにスキャンする方式が一般的だった。冊子を裁断せずにスキャンする方法もあるが、冊子を見開いた状態をスキャンするだけでは、書面が湾曲し、文字などが歪んで読みにくくなる。書面の湾曲による歪みを補正する技術も開発されているが、従来の技術では2台のカメラから書面の歪みを割り出し、補正するものが多く、装置が複雑でコストも高くなった。富士通研究所によると「1台のカメラで補正する方式もあるが、ページの谷間の文字が縦長になりやすいなど歪みの正確な補正が困難だった」という。

 そこで富士通研究所などは今回、1台のカメラだけで、正確に歪みを補正する「ブック補正技術」を開発した。補正を行う仕組みは次の通り。


正確に歪みを補正する「ブック補正技術」の仕組み 出典:富士通研究所

 まず、カメラで撮影した画像から、ページの輪郭線を正確に検出する。検出を高速化するため、最初は低解像度の画像を用い大まかな輪郭を検出したのち、大まかな輪郭線を基にして高解像度の画像で微調整を行い正確な輪郭線を割り出すという。

 次に、輪郭線をもとに書面の各場所での高さを推定する。ある場所の高さとその周辺の場所との高さの差を輪郭線の形状から割り出すことができ、差が大きい場合は湾曲が大きいとして大きな補正をかける。差が少ない場合は補正量を小さくする。この方法により、「ページの谷間の文字が縦長になることなく正しく補正される」という。

 書面上空にカメラを配置するオーバーヘッド型スキャナの場合、厚みの冊子のページを押さえる指がスキャン画像に写り込む。今回、開発した技術は、「指領域の自動検出、除去も併せて行う」としている。

 これらの技術を用いたオーバーヘッド型スキャナでA4サイズの見開きページを解像度300dpi相当、約90%の精度で補正をかけながら読み取った場合、「約1.3秒での高速処理を実現した」としている。

 富士通研究所では、「今後、開発した技術の高精度化を進めていく」としている。なお、富士通の子会社であるPFUは、書籍を裁断せずにスキャンできるオーバーヘッド型スキャナ「ScanSnap SV600」を2013年7月12日に発売すると既に発表している。

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