室内照明の光発電を活用した見守りシステム、村田製作所がデモを披露:TECHNO-FRONTIER 2013 エネルギー技術
村田製作所は、「TECHNO-FRONTIER 2013」(テクノフロンティア2013、2013年7月17〜19日)において、室内の照明で発電する光発電と無線ネットワークを活用した“見守りシステム”のデモを行った。色素増感作用を用いて、「室内の明かりで発電できる点がポイント」だと強調する。
村田製作所は、「TECHNO-FRONTIER 2013」(テクノフロンティア2013、2013年7月17〜19日)で、光発電と無線を活用した“見守りシステム”のデモを披露した。デモ用に開発した薄型モジュールには、光発電素子とセンサー、自社で開発した920MHz帯無線通信モジュールが搭載されている。ドアの開閉感知用、人感知用、温湿度測定用の3種類のモジュールがあり、それぞれ磁気センサー、赤外線センサー、温度センサー/湿度センサー/照度センサーを搭載している。光発電素子の発電量は、200lx(ルクス)のLED照明下で150μW。光で発電したエネルギーを用いて、センサー回路を駆動し無線通信を行っている。
光発電素子は、フィルム基板の表面に色素を塗布し、色素が吸収した光エネルギーを電気に換える、いわゆる色素増感型だ。村田製作所では、スクリーン印刷で発電膜を形成しているので、長方形だけでなくさまざまな形状の光発電素子を製作できるという。同社の担当者は、「色素増感を利用した光発電というと太陽電池が一般的だが、当社はあくまでも“室内の照明でも発電できる”という点に注力している。昼夜関係なく、室内の明かりがついていれば発電できるからだ」と強調した。
村田製作所はこの他、圧電方式の発電素子を内蔵した照明スイッチも展示した。スイッチを押した力で発電し、その電力を利用して無線通信を行い、照明のオン/オフを行う。
デモに使用したスイッチは、1回押すと400μJ(J=W・秒)発電する。実際にスイッチを押してみるとやや固く、かなり押し込まないと照明をオン/オフできない。「今後は、もう少し弱い力でスイッチを押しても十分発電するよう、圧電素子の材料の開発などを進めていく」(村田製作所)。
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