エプソン、次世代プリントヘッド技術「PrecisionCore」発表:新技術 BtoB分野の印刷にインクジェット技術を
セイコーエプソンが次世代プリントヘッド技術「PrecisionCore(プレシジョンコア)」を発表。レーザープリンタ/産業用印刷機/アナログ印刷機などあらゆる印刷領域で、次世代インクジェットプリンティング技術への置き換えを図る。
セイコーエプソンは2013年9月25日、ベルギーで開催された業界最大級の展示会「第11回 ラベル エキスポ」で次世代プリントヘッド技術「PrecisionCore(プレシジョンコア)」を発表した。
PrecisionCoreは、同社のインクジェットプリント技術を発展させた「薄膜ピエゾプリントヘッド技術」の総称。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造技術をベースとして開発された次世代のプリントチップがそのテクノロジーの中核を担う。
このプリントチップを構成する薄さ1ミクロンのピエゾアクチュエータにより、高速かつ正確にインクを吐出させることができるほか、用途に合わせてさまざまな配列が可能な高い拡張性により、シリアル方式(可動式ヘッド)とライン方式(固定式ヘッド)両方のプリントヘッドを構成することが可能。さまざまな種類のインクにも対応しており、多種多様なメディアに印刷することができるという。デスクトッププリンタから産業用の大型ラベル印刷機に至るまで、同一のプリントチップを使って柔軟かつ幅広いプリントヘッドの構成が行えるのがPrecisionCoreの最大の特徴だ。
同社は2013年6月に、諏訪南事業所(長野県諏訪郡富士見町)と東北エプソン(山形県酒田市)の国内2拠点でPrecisionCoreの新規生産ラインを構築したと発表。「これまで行ってきた投資としては最大規模」(同社)となる約160億円(2011年度から2013年度までの3年間での総額)の生産投資で、同社の次世代を担う新技術の立ち上げを進めている。
同社では今後、オフィス向けのレーザープリンタや産業用印刷機、アナログ印刷機などあらゆる印刷領域において、PrecisionCoreによる次世代インクジェットプリンティング技術への置き換えを図る構え。
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