検索
連載

「スカイネット」が現実に? AIの未来像は“自我”がキーワード“AI”はどこへ行った?(3)(3/3 ページ)

10年前は、「最も革新的なAIは、自己学習すること」と言われていた。実際、自己学習するAIの開発は進んでいて、実用化が可能なレベルまで達しているものもある。“自己学習”がもう一歩進めば、AIに“自我”が芽生える可能性も否定できない。映画「ターミネーター」に登場する「スカイネット」のような、自我を持つ人工知能がAIの未来像になるのだろうか。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

“ROSE”搭載の目的はコスト削減?

 冒頭で、イプシロン打ち上げ中止の原因となった「0.07秒のずれ」の話をしたが、参考までに、この0.07秒は、伝送路中のいくつかの計算機の演算の遅れ、特に今回導入したROSEの中を通過するときの遅延によるものだったそうだ(JAXAの森田氏のインタビューより)。

 かねてより、イプシロンにはロケットの打ち上げコスト削減が将来的な商用利用においては絶対的な命題としてのしかかっていた。固体燃料以外にも、実績のある既存部品の使い回しはもちろん、点検整備作業を大幅に削減する必要があったという。

 このため、従来は100人の作業員が42日間かけて行う点検整備作業を、ROSEをイプシロンに搭載することで、わずか2台のPCと10人の作業員で7日間で済ませることができた。これはモバイル管制システムと呼ばれるが、点検整備コストと時間の大幅な削減を図ることに成功したわけである。

 イプシロンにROSEを搭載した大きな理由の1つはコスト削減ではあったが、今後はコスト削減以外の目的でAIがどんどんロケットに搭載されるようになると思う。ただ、衛星を打ち上げる場合はAIに自我があってもなくても特に気にしないが、人間が乗る場合は、“自我を持たないAI”のほうがなんとなく安心できる気がする……。

 さて、今回も最後に映画の話をもう1つ。

 前回、2014年に「ターミネーター5」が公開される予定だと書いたが、「ロボコップ」もリメイクされていて、こちらも2014年に公開するようだ。コンピュータもネットワーク環境も、ロボコップが初めて公開された30年前とはずいぶん変わっている。リメイク版では、これらがどう進化しているのか、わくわくしている。


Profile

世古雅人(せこ まさひと)

工学部電子通信工学科を卒業後、1987年に電子計測器メーカーに入社、光通信用電子計測器のハードウェア設計開発に従事する。1988年より2年間、通商産業省(現 経済産業省)管轄の研究機関にて光デバイスの基礎研究に携わり、延べ13年を設計と研究開発の現場で過ごす。その後、組織・業務コンサルティング会社や上場企業の経営企画責任者として、開発・技術部門の“現場上がり”の経験や知識を生かしたコンサルティング業務に従事。

2009年5月に株式会社カレンコンサルティングを設立。現場の自主性を重視した「プロセス共有型」のコンサルティングスタイルを提唱している。2010年11月に技術評論社より『上流モデリングによる業務改善手法入門』を出版。2012年4月から2013年5月までEE Times Japanにて『いまどきエンジニアの育て方』のコラムを連載。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る