「処理に応じた“適材適所のコア”を提供」――ARMがbig.LITTLE処理とMaliに注力する理由:プロセッサ/マイコン(1/2 ページ)
ARMは2013年10月8日、東京都内で記者会見を開催し、「big.LITTLE処理」とグラフィックスプロセッサ(GPU)「Mali」という2つの技術/製品をアピールした。
現在ARMが普及拡大に特に力を入れているのが「big.LITTLE処理」とグラフィックプロセッサ(GPU)「Mali」の2つだ。
big.LITTLE処理とは、高性能な大型CPUコアと、省電力な小型CPUコアを組み合わせた構成で処理を行うこと。低負荷の処理は小型コアで行い、処理能力が必要な大規模な処理は大型コアで実施することで、高い処理性能を維持しつつ、消費電力を可能な限り抑えることのできる技術だ。
ARMは、このbig.LITTLE処理をいち早く導入した。2011年に「Cortex-A7」を省電力コアとして、「Cortex-A15」を高性能コアとして構成するbig.LITTLE処理技術の導入を発表。以来、さまざまなスマートフォン、タブレット端末に導入され、昨今では、車載情報機器用SoCやサーバ/ストレージ機器向けプロセッサなどにも使われている。
2013年10月8日にARMが東京都内で開いた会見では、デモや動画などを交え、改めてbig.LITTLE処理の有効性をアピールした。その1つが、Cortex-A7とCortex-A15を各4個搭載したSoCを使用したAndroid端末で、さまざまなアプリを処理した際の各CPUコアの動作状況を表した動画だ。
一般的なゲームアプリである「Angry Birds」をプレイした場合、タスク処理の重いアプリ起動時に一瞬、Cortex-A15が1〜2個動作するものの、起動後はほぼ省電力のCortex-A7だけで処理を行っていることが分かる。
また、処理が比較的重い、MicrosoftのOfficeのファイルをAndroid上で閲覧、編集するアプリ「Quickoffice」を実行した場合は、高性能なCortex-A15が動作割合がAngry Birdsに比べ高く、性能を優先させている。ただ、頻繁にCortex-A7にも切り替わり、消費電力を可能な限り落とそうとしていることも見て取れる。
こうした大小のコアの切り替えは、Androidのカーネルスケジューラが各スレッドの処理時間を監視し、処理に時間がかかっていると高性能コアに処理を切り替え、逆に処理が短時間で済むと省電力コアに切り替えるといった調整を動的にしているという。既にAndroidには、標準でbig.LITTLE処理構成に対応したタスクスケジューラが実装されており、アプリ開発側が大小のコアを使い分けを考慮する必要もないとする。
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